Samsungの死角はソフトウェアとサービスか?
Samsungはスマートフォンでトップに君臨するほか、タブレットでもシェアを伸ばしている。ABI Researchが発表した2013年のタブレット市場報告書によると、一度は9割を占めたiPadのシェアは51%に下がり、40%がAndroidとなっている。さらにそのうちの40%はSamsungで、スマートフォン側の成功が好影響を及ぼした結果、2013年第3四半期はタブレットでも成長したという。
このように全盛期を謳歌するSamsungだが、数年前にNokiaが王者だったときとは時代が変わった。業界の動きが速いのと、携帯電話市場がこれまで関係ないと思われていた業界と融合していることがある。あの当時の携帯電話メーカーは、AppleともGoogleとも、そしてAmazonとも直接競合することはなかった。だが今は違う。そして、これらの競合を考えるとSamsungにはいくつかの弱点がある。
Androidに依存している現状についてはこれまでも言われているとおりで、Tizen開発を進めている。一方でAndroidをフォークするのではという専門家の予想もある(関連記事)。ソフトウェアやサービスも現状のままではアキレス腱だろう。
そのことはSamsungも自覚しているようだ。11月に同社が開催したアナリスト向けイベント「Samsung Analytst Day」で、同社は業界トレンドとしてのソフトウェアへのシフトを認め、Samsungもソフトウェアを強化していると述べた。Wall Street Journalのイベントライブブログによると、SamsungのCEO、Kwon Oh-hyun氏は研究開発スタッフの半分がソフトウェアにフォーカスしており、今後比率をさらに増加していくとの見通しを示したという。
SamsungはGALAXY S4に合わせてコンテンツやサービスを入手できるストア「Samsung Hub」を導入したが、このサービスの経過については数字を公開していない。なおこのイベント内でSamsungは、モバイル分野のイノベーションとしてファブレット、曲面ディスプレイ、ウェアラブルなどをピックアップしたと伝えられている。
スマホで一番儲かったのは弁護士!?
スマートフォン関連の訴訟で1000億以上が使われる
最後に。2013年も残すところ1週間だが、スマートフォンの特許訴訟が一向に収束に向かいそうにない点は残念だ。その中心であるSamsungとAppleは世界各国でにらみ合いを続けているが、米国では2012年8月のSamsung敗訴に伴う損害賠償金についての再審理があった。経緯としては、当時Samsungは10億5000万ドルの損害賠償金支払いを命じられたが、そのうちの4億5000万ドルを見直すことが2013年3月に決まった。Samsungが5200万ドル、Appleが3億8000万ドルと主張する中、11月末に連邦地方裁判所は再審理の結果、2億9000万ドルと決定した。これによりSamsungがAppleに支払う損害賠償金は9億2900万ドルとなった。
Appleはまだ不服のようで、12月には特許訴訟費用1570万ドルの負担を求める申し立てを行った。Appleが法廷に提出した書類から、訴訟関係で6000万ドルを費やしたことも明らかになった。スタンフォード大学のMark Lemley教授は、ここ数年のスマートフォン訴訟で各社が費やした合計金額を10億ドルと見積もっている。
筆者紹介──末岡洋子
フリーランスライター。アットマーク・アイティの記者を経てフリーに。欧州のICT事情に明るく、モバイルのほかオープンソースやデジタル規制動向などもウォッチしている
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