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国際SEO - 国・言語にあわせたIPアドレス取得は必要か?

文●渡辺隆広/SEMリサーチ

2013年12月23日 06時21分更新

記事提供:SEMリサーチ

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国際SEO - 国・言語にあわせたIPアドレス取得は必要か?

個人的には、多言語・多地域を横断するSEO(International SEO、Global SEO、以下、国際SEOと記す)は、高難易度な業務の1つだと思います

国際SEOが難しい理由は3つあります。第1に、数多くの特殊な知識やノウハウが要求されること、第2に、ターゲット市場の性質と検索行動を理解する必要があること、第3に、国際SEOを適切に実行するには本社や支社との連携・折衝を含めて組織内の様々な関係者を巻き込み、継続的に教育・啓蒙していく必要があり、一筋縄ではいかないこと。

本件の IPアドレスとドメイン(gTLD / ccTLD)の話も、国際SEO故に理解しておかなければならないお話の1つです。これは「地域・地理の関連性」(Regional Relevancy)などと呼ばれますが、単一言語・地域のSEOする上では全く知らなくて良い話です。従って、日本国内だけでSEOを実施する人にとっては以下、読む必要は特にありません。

さて、業務上関係する人たちが、この地域と地理の関連性において押さえておかなければいけないことは1つです。『検索エンジン(Google, Bing)は、ドメインの種類 (gTLDまたはccTLD)と、外部リンクの発信源によって、そのサイトの属性言語と地域を決定する』ということです。

Should I use a separate IP address for each country-specific site?

For one customer we have about a dozen individual websites for different countries and languages, with different TLDs under on IP number. Is this okay for Google or do you prefer one IP number per country TLD ? - Yves Luther, Germany


改めて「地域と地理の関連性」について説明をします。端的に述べると、「あなたのサイトを、どの国の検索エンジンの検索結果に掲載するかを決める作業」です。例えば、フィンランド在住の人々に物品を販売するコマース事業を行うとするなら、ターゲット国はフィンランドのGoogle (google.fi)、ターゲット言語はフィンランド語※になります。

※ フィンランドはフィンランド語、スウェーデン語、英語と複数言語を扱う場合があるが話を複雑にしたくないので1言語のみとして話を進める

ターゲット国:フィンランド
ターゲット言語:フィンランド語

この2つを明確にしたら、次は対象とする検索エンジンの決定です。検索エンジンの種類だけでなく、言語、地域を明確にします。


ターゲット国:フィンランド→Googleフィンランド (google.fi)
ターゲット言語:フィンランド語→suomi

最後に、上記の検索エンジン(オーガニック検索)に掲載するために必要なドメインと外部リンクの発信源を確定します。今回はフィンランドという特定地域を対象としますので、ドメインは ccTLD の fi ドメインを取得してウェブサイトを開設します。フィンランド1国のみを対象としてSEOをするのであれば、gTLD を取得しても問題はありません。

※ 米国とフィンランドと日本の3カ国向けのウェブサイトを開設する場合は、ドメインはそれぞれ "gTLD" "fi" "jp" の3つを取得するのが望ましい(余計なトラブルを回避可能)

また、google.fi のオーガニック検索が掲載対象となりますから、外部リンク構築の初期段階においては、フィンランド向けのウェブサイト、技術的に定義を明確にするなら『.fiドメインで発信されているウェブサイト』を中心とする外部リンク構築施策を優先します。

※ 「初期段階」と断りをいれたのは、元来、外部リンクの発信源は自分で制御ができないから。しかし、Googleに「あなたのサイトはどの国のGoogleに掲載することが最善か」を認識してもらうためには、特定国・地域の外部リンクを獲得していることが必要である。そのため、一定期間は優先的に(本例の場合).fiドメインのサイトからのリンク獲得を意識した方が良い

サーバのIPアドレスについては、全く意識する必要はありません。記事「国際SEOにおいて正しく検索エンジンに登録する方法」でも述べましたし、先に紹介した Google Matt Cutts氏もビデオで述べている通り、IPアドレスは地域及び地理の関連性決定において重要なシグナル(手がかり)ではなく、無視して問題ありません。そもそも、Googleの為だけに、ドメイン毎に IPアドレスを取得するというのは面倒ですし、世の中のウェブサイトの大半は営業エリアに合わせてIPアドレスを変更などしません。一方で、地域・地理の関連性を判定する上ではドメインの種類を見た方が的確な判断ができるでしょう。

以上の通り、希望する国・地域・言語のGoogleオーガニック検索へ正しく掲載されるようにするためには (1) 適切なドメインを選択する、(2) 掲載対象国に属するウェブサイトからの外部リンクを一定数獲得する、という2つの要件を満たせば手続きが進められるでしょう。

…ポイントは2つだけなので簡単に見えるかもしれませんが、冒頭で触れた通り、実務現場でこれを実行するのは本当に難しいです。なぜなら、国際SEOに興味を持つ企業の多くは、すでに何年もの間、多言語でのウェブサイトを運営してきてしまっており、今更SEOのために多くの変更を試みるのは困難になってしまっているケースが多いからです。例えば過去の IBM や Dell、HP は今でこそ国際SEOを適切に実行できていますが、軌道に乗るまでには非常に多くの困難に直面してきたはずです。国際SEOについて相談を寄せてくるような日本のグローバル企業も、好ましくないドメインやURL構成、サイト構造で長年運営してきてしまったために、今更中国やシンガポールの支社に対してSEOのちょっとした改修要件を支持するにも膨大なコストが発生するため、消極的になりがちなのです。これらを動かさなければならないインハウスSEO担当者には本当に同情します。

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