このページの本文へ

「ショールーム」で勝てるヤマダ電機

2013年12月13日 16時00分更新

澁野義一/アスキークラウド編集部

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 ヤマダ電機が苦しんでいる。11月7日に発表した同社の第2四半期(4〜9月)の連結決算によると、売上高8975億円と前年同期の8060億円より改善しているにもかかわらず、純利益は41億円の赤字(前年同期は139億円の黒字)。赤字は上場以来初という。

 同社幹部は、その原因を「行きすぎた値引き」だと説明する。ECサイトに対抗するため、販売価格を同程度まで引き下げたことが裏目に出たのだ。今後は商品の価格管理方法を変更し、事業長の指導で不要な値引きを減らすというが、日本格付研究所(JCR)は同社の長期発行体格付を「ダブルAマイナス」から「Aプラス」に格下げしている。

押し寄せるECの波にあらがえないヤマダ電機

 背景には、店舗で商品を吟味して、ネットで買う「ショールーミング」の加速がある。例えばECサイト「ゾゾタウン」を運営するスタートトゥデイが11月に開始した「WEAR」は、店頭でスマホアプリを使ってバーコードを撮影すると、商品情報を得られるサービス。例え欲しい商品の店頭在庫が切れていても、ゾゾタウンかブランドのECサイトで購入できる。だが、店舗側にはネットに客を取られるのではという危機感がにじむ。「導入には大反対だが、(消費者の購買行動の変化を考えると)いずれ参加することになるだろう」と大手セレクトショップ関係者は苦しい事情を明かした。

 小売店側も対策に乗り出した。イオンは2016年度までに、店頭でスマホで撮影した商品を即日宅配するサービスを始めるという。セブン-イレブンを展開するセブン&アイ・ホールディングスも、スマホで注文した商品をセブン-イレブンの店頭で受け取れるサービスを開始すると報道された。いずれも、ネットとリアルの店舗を融合する試みだ。

 では、ヤマダ電機はどのような道を探っているのか。実はすでに、同社の1000店近い店舗を活かした新たな取り組みが始まっている。それは、住宅事業とのコラボレーションだ。

 同社は2011年に住宅メーカー・エスバイエルを買収し、住宅事業に参入。さらに2012年には住宅機器メーカーのハウステックを子会社化した。武器はオール電化のスマートハウスだ。住宅事業拡大へ向け、不動産会社と連携して顧客紹介の仕組みを作り、受注拡大を目指している。さらに来春から低価格の注文住宅を販売する、子会社ヤマダ・ウッドハウスも設立した。

 富士経済の住宅リフォーム市場調査によると、スマートハウスリフォーム市場は4年後の2016年度に1兆円を超えると予測。中でも、エンドユーザーとの接点が持ちやすい小売系のリフォーム事業者の伸びが最も期待されるという。

 ヤマダ電機が住宅事業で主導権を握るには、店舗をスマートハウスの「ショールーム」にすればいい。事実、店舗の駐車場にモデルハウスを設置したり、住宅関連の売り場を広げたりといった施策を打っている。2013年に開店した埼玉県新座市の新店舗では、従来の2倍の売場面積を住宅機器コーナーに割いているという。 

 ありとあらゆるモノがネットで買えるようになっても、高額な住宅関連製品は自分の目で見て、確かめてから購入したいはず。ヤマダ電機は徹底した「ショールーム」化で、「ショールーミング」の波を乗り切ろうとしている。

カテゴリートップへ

ピックアップ