TVアニメ『ガールズ&パンツァー』の放送から、もう何度大洗の町に行っただろう。5度や6度ではきかないはずだ。でも筆者の回数なんてまだまだ序の口、ここを見ている読者のなかには「20回は行ったよ」「いや自分は50回は超えてる!」なんて剛の者もいるはずだ。そんな皆さんには、個人的に「プロ大洗巡礼者」の称号を授けたい!
首都圏からドライブに行くには適度な距離にある茨城県大洗町は、東日本大震災の影響で観光客数が大幅に激減。しかし震災から2年を経た現在、ガルパン効果もあって徐々にかつての賑わいを取り戻しつつある。イベントによっては震災前の数字を上回る来場者数を記録するものもあって、地域振興の成功例として全国の自治体からも注目を集めているのだ。
11月17日、そんな大変な賑わいを見せる大洗で「第17回大洗あんこう祭」が開催された。これも、震災前と比較して来場者数に大幅な伸びをみせているイベントのひとつ。今年もすさまじいばかりの人出を記録した大洗あんこう祭をレポートする。
冬の味覚あんこうを堪能
暖流と寒流の境目にある鹿島灘に面した大洗町は、茨城県でも有数の漁業基地。潮目が近くにあるその立地から水揚げされる魚の種類がとても豊富で、スズキやタイなどの近海魚をはじめ、夏場のシラスやハマグリ、冬にはアンコウが多く水揚げされることで知られている。
これから旬の季節を迎える大洗アンコウを一般にもっと知ってもらおうと、毎年この時期に「大洗あんこう祭」は開かれている。2011年3月の東日本大震災で大洗は津波の打撃を受け、風評被害も伴ってその年のあんこう祭は人手が大いに心配されたそうだが、この街を舞台の一部にした「ガールズ&パンツァー」の効果もあって、震災前と変わらぬ来場客数を記録。震災後1年を経た2012年度は震災前よりも多くの人々を集め、そして今年は昨年をも上回る約10万人もの来場客を集めたという。
これがどれだけすごいことなのか。一言で約10万人というが、大洗町の人口は2013年現在で約1万8000人。つまり住民数の5倍以上という膨大な来場客を、たった1日のイベントで記録したのだ。地方都市の季節イベントとしては、異例とも言える集客だったことがわかるだろう。