日本アイ・ビー・エム(日本IBM)は10月15日、ビッグデータ処理向けの統合プラットフォーム「IBM Pure Data System」のラインアップ拡充を発表した。新たにHadoopアプライアンス(専用機)、およびエントリーモデルのデータウェアハウス(DWH)アプライアンスを追加する。
IBMでは、ハードウェアとソフトウェアのコンポーネントを統合し、システム構築や運用の知見を「パターン」として提供することで自動的に最適な資源を構築する「エキスパート・インテグレーテッド・システム」として「IBM PureSystems」ファミリーを提供している。PureData Systemは、そのうちのビッグデータ処理向けプラットフォーム製品群に当たる。
今回新たに追加された「IBM PureData System for Hadoop H1001」は、Hadoop基盤ソフトウェア「IBM InfoSphere BigInsights」を構成済みハードウェアに搭載して提供するアプライアンス。BigInsightsは「Apache Hadoop」をベースに、独自の「Adaptive MapReduce」や「High Availability」などのコンポーネントで処理を強化、さらにANSI SQLでHadoop上のデータを扱える「BigSQL」、スプレッドシート形式でデータを可視化/編集できる「BigSheets」、システム管理といったツールも備え、顧客企業のビッグデータ活用を容易にする。
また、オプションの「InfoSphere Optim EasyArchive for PureData Hadoop」により、DWHアプライアンスの「PureData System for Analytics」上のデータをインポート/エクスポートすることが可能となる。
もう1つの新製品である「IBM PureData System for Analytics N2002-002」は、今年2月から販売されているハイパフォーマンスモデルの小規模構成版と位置づけられるDWHアプライアンス。中規模分析システムのニーズに対応したエントリー構成ながら、超並列処理を実行するNetezzaテクノロジーを利用したシンプルかつ高速な分析が可能となっている。
ビッグデータ導入の目的はまちまち、幅広い製品群で対応
発表会に出席した日本IBM ソフトウェア事業 インフォメーション・マネジメント事業部 事業部長の望月敬介氏は、ビッグデータ市場の現状とIBMの取り組みについて説明した。
2012年、IBMが実施した全世界の企業に対する調査によると、ビッグデータ導入の「準備」あるいは「検討」を始めている企業は約7割に上った。しかし一方で「実行」段階に達している企業はまだ6%にとどまる。
望月氏は「2013年、ビッグデータの展開は本格局面に達した」と述べる一方で、企業のビッグデータ導入における課題、ビッグデータプラットフォームに求められる要件を指摘した。
望月氏によれば、ビッグデータ導入を考える企業が増えている一方で、その導入目的や扱うデータの種類、規模はまちまちであり「すべてのデータに対応できる技術はない」(同氏)。したがって、ビッグデータを取り扱うプラットフォームは、さまざまな種類のデータ処理技術を包括しつつそれらが相互に連携する、統合されたものである必要があるという。IBMではそうした要件に対応した製品群をリリースしていると、望月氏は紹介した。
また、ビッグデータ導入に向かっている企業も、具体的にどのようにしてそこからビジネス価値を生み出していくのかは「模索中の段階」として、IBMでは包括的な製品ポートフォリオを背景に、そうした顧客の「パートナー」としてビッグデータ導入に取り組んでいく姿勢であることを強調している。
なお、新製品の価格について、望月氏はその目安をPureData System for Hadoopが7000万円台から、PureData System for Analyticsが6000万円からと述べている。
