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販売目標500万台のカギを握るのはインディーズ?

2013年09月26日 16時00分更新

石山俊浩(ISHIYAMA Toshihiro)/アスキークラウド編集部

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 先日開催された東京ゲームショウ2013で、一般ユーザーに初披露されたPlayStation4(PS4)。試遊台には長い行列ができ、勢いを増すスマホゲームに対し、据え置きゲーム機の逆襲を予感させた。そんな中、ソニー・コンピュータエンタテインメント代表取締役社長兼グループCEOのアンドリュー・ハウス氏にインタビューする機会を得た。

――初披露の手応えはいかがでしたか?
ハウス氏:会場を回れたのは限られた時間でしたが、特にゲームメーカーの反応はポジティブでしたね。一般ユーザーの反応はこれから(注:インタビューが行われたのはビジネスデーの9月20日)ですが、ネットの記事を見る限り、待ち時間の長さやゲーム業界への新しい話題も盛りだくさんで効果があると思っています。

ソニー・コンピュータエンタテインメントのアンドリュー・ハウスCEO ソニー・コンピュータエンタテインメントのアンドリュー・ハウスCEO

――基調講演で触れたソーシャル機能についてくわしく伺いたいのですが
ハウス氏:PS4を設計する際に考えたのは、「スマートフォンvsゲーム専用機」ではなく、すでに普及しているスマートフォンやタブレットをPS4のエンハンサー(おもしろさを高めるもの)として、どう連携できるか。強調したいのは、いつでもどこでもゲームプレイヤーとつながること。離れた場所でゲームの中で何が起こっているのか知りたい気持ちは誰にもあるはず。それが手持ちのスマートフォンと連携することで、より楽しいゲームの世界が作れるのではないか、というのがわれわれのもともとの発想でした。

――セカンドスクリーンとしてスマートフォンやタブレットを使う考え方ですか?
ハウス氏:セカンドスクリーンには2つの意味があります。うちの吉田(修平氏。ソニー・コンピュータエンタテインメント ワールドワイドスタジオ プレジデント)が基調講演でプレゼンしたように、PS4のコントローラーとしての機能は当然ですが、それだけではなく、ゲーム内で何が起こっているのか把握したり、友だちを招待したりといった機能も提供したいと考えています。またビジネスの面でもチャンスが広がります。たとえば、新しいゲームコンテンツを友だちから紹介されて「いっしょにプレイしたい」と思っても、今まではお店に買いに行くといった行動が必要でしたが、スマートフォンでプレイステーションネットワーク(PSN)につながっていれば、その場でストアから購入でき、家に帰ればすぐにプレイできるのです。

――コントローラーといえば、新たに搭載されたSHAREボタンがおもしろいですね
ハウス氏:こちらもソーシャルとの連携を意識した設計です。米国のパソコンゲーム市場でものすごいブームになっているのが、自分のゲームプレイを録画しておもしろい解説を加えて共有すること。必ずしもパソコンでのトレンドがゲーム機に来るとは限りませんが、これは流行るだろうと。個人的な話ですが、わたしの息子がゲームのブロードキャストにハマっていたんですね。それにわたしも影響を受けたのかもしれません(笑)

――ではあのSHAREボタンはハウス氏のアイディアですか?
ハウス氏:いえいえ、そうではありません。考えたのはスタッフですが、現場からアイディアを上げたときに、社長が「??」ではなく「ああ、アレね!」と話が通じたのはよかったのではないでしょうか(笑)

PS4専用ワイヤレスコントローラー「DUALSHOCK4」(左)、「PS4」本体(中央)、「PS Vita TV」とバリューパックに同梱される「DUALSHOCK3」(右)
PS4専用ワイヤレスコントローラー「DUALSHOCK4」(左)、「PS4」本体(中央)、「PS Vita TV」とバリューパックに同梱される「DUALSHOCK3」(右)

――基調講演では、初めて「500万台」という初年度の販売目標が公開されました。これは2014年3月末までのことでしょうか
ハウス氏:はい、そうです

――かなり大きな数字に見えますが、何か施策は?
ハウス氏:販売目標を決めた意図をお話しましょう。ひとつは、8月にドイツで開催されたgamescom(国際ゲーム産業見本市)でPS4の発売時期を発表した時点で、欧米での予約台数が100万台を突破していました。そのあとのユーザーの反応もポジティブなので、これぐらいの数字は達成できるでしょうと。また、PS3と比較されることも多いですが、性能は10倍ぐらいなのにお求めやすい価格設定なこと。特に米国は価格に敏感なマーケットなので、大きな反応をもらっています。PS3が求められたのは、最新のゲーム体験とブルーレイプレイヤーとしての機能。その後われわれはPSNを立ち上げてサービスを増やした。そこに、多機能で総合的なエンタテイメントデバイスを投入すれば、ゲームを求めるユーザーに加えて、サクサク動く優れたUIで他のエンタテインメントコンテンツを楽しみたいユーザーにも広がるでしょう。

――欧米に比べて日本での発売が遅れる点については
ハウス氏:個人的には非常に厳しい判断だったと思っていますし、日本のユーザーをガッカリさせたことを気にしています。とはいえ、サービス環境が整っていない段階で発売すると、ユーザーを違う意味でガッカリさせます。日本のユーザーは大事なので、できるだけ「フル」な機能が使える状態で届けたかったから、その時期になったのです。

――Gaikaiの技術を使ったクラウドゲーミングは、日本でのローンチ時に体験できるのでしょうか?
ハウス氏:われわれが考えているGaikai技術の用途は2つあります。ひとつはPS Vitaでのリモートプレイ。こちらは近いうちに体験できる見通しです。もうひとつの将来的な狙いとして、家庭用ゲームのタイトルを低遅延、あるいはほとんど感じない程度で幅広い機器でプレイできる環境を作りたい。こちらはサーバー、インフラ、バンド幅などを全部踏まえたうえでユーザーが満足するサービスを提供したいので、まずは米国で2014年に提供して、クライアントを選びつつ地域を広げていく計画です。

――米国ではベータテストを行う予定ですか?
ハウス氏:もちろん。ただ、今の段階ではどのタイトルを提供するのか、どういった購入方法になるのかといった部分は計画中でお話しできません。

小規模の開発者を支援する仕組み、PSラブインディーズ
小規模の開発者を支援する仕組み、PSラブインディーズ

――最後に、「PSラブインディーズ」の具体的な活動内容について伺いたいのですが
ハウス氏:実はこれからの活動ではなく、過去1年以上前から欧米中心に、PS3で行っています。具体的には、ビジネス面でいうと、われわれのチームがいいインディーズゲームを見付けた段階で技術支援や金融支援を行います。もうひとつはビジネスモデル自体の援助。小規模のチームができるだけスムーズに、幅広いユーザーに自分たちのコンテンツを提供できる形にしたい。たとえばPSNでデジタル配信すれば(パッケージ化や流通の手間が省けるので)バリア(参入障壁)は低くなります。そこで、パブリッシャーを通すのではなく、直接、どんな小さな会社でも自社で配信できる仕組みをPSN上に作りました。これはインディー系のデベロッパー(開発者)から非常に高評価をいただいています。最後に、大事だけど説明しにくい部分ですが、人間関係について。欧米や日本には、ゲームが好きでたまらない、特にインディー系ゲームの「いいもの」を探したいスタッフがいます。彼らはインディー系開発者のコミュニティをよく知っていて、可能性があるソフトを探し、開発者といい関係を築き、援助しつつユーザーに提供したいと考えています。この活動がうまくいけば、ユーザーにもベネフィット(利点)があります。iOSやアンドロイドでいいゲームを探すには、数が膨大過ぎて難しい。その点、スタッフがいい開発者を見付けて紹介できれば、ユーザーは見たことがない「いいゲーム」に触れられる。もちろん、プラットフォームホルダーとしてはいいコンテンツが増えてうれしい。また開発者にとっては、新たなゲーム機の上でユーザーが獲得できる。まさにWin-Win-Winなのです。

――特にPS4だから何かを始めた、というわけではないのですね?
ハウス氏:PS4で変わった点で、もっとも大事なのは「開発のしやすさ」です。今までPS3でも活動してきましたが、非常に特徴がある開発環境だったので、少しバリアが残っていました。その点、PS4はパソコンに似たアーキテクチャがベースなので、より(開発が)やりやすい、より数多くのゲームが集まりやすいのが大きな進歩だと考えています。

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