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クレジットカードが最終兵器Squareで世界を支配する

2013年09月30日 16時05分更新

文● 盛田 諒(Ryo Morita)/アスキークラウド編集部

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中小企業、個人事業主
「小さな顧客」が巨大な壁

 壁の正体は、加盟店数の飽和だ。

 ぐるなびによれば、日本の飲食業界で4割~5割の店がクレジット決済を導入していない。理由は、中小企業にとってインフラ費用が重荷だったためだ。

 クレジットカード読み取り機は10万円、数店舗程度の契約では決済手数料も5~7%と高い。カード払いの入金は締め日計算で15~25日おき、現金仕入れも多い飲食店で日銭の稼ぎが減るのは死活問題。自然と中小企業は現金専業がほとんどだった。

 「我々のお客さんの中心は百貨店とかホテルとか、従来のピラミッドの頂点にいる人たち。この下が広がるかというと、なかなか広がらなかった」(大手カード会社・営業部長)

スクエア

 カードを使える店が増えなければ、カード業者は潜在顧客に対してアピールできない。

 2つの壁にぶつかったカード業界の前に、彗星のように登場したのが「Square(スクエア)」。クレジットカードで商品を販売する加盟店向けのモバイル決済サービスだ。小さな端末をスマートフォンのイヤホンジャックに接続すれば、クレジットカードで商品を販売できる。

 この単純な仕組みが、悩める業界の救世主になる可能性がある。どういうことか。


モバイル決済「スクエア」は
中小・個人向けのカードインフラ

 仕組みは単純、スクエアはカード決済にかかるインフラ費用が破壊的に安いのだ。

 スクエアの端末価格は実質ゼロ円。加盟店審査は最短1日で終わり、売り上げは翌日入金される。従来に比べると信じられない手軽さだ。

 スクエアがターゲットにしているのは、数店で展開するカフェやレストランなど中小規模の飲食店、あるいは地方商店や個人事業主。スクエアの発表によれば、米国で加盟店数は2009年のサービス開始から3年で400万店を超えた。年間取扱高は約1.4兆円で、1日あたり40億円が決済されている計算になる。

 スクエアの力を借りれば、カード会社は大企業だけではなく、中小企業や個人事業主まで加盟店に出来る。大手と違って事業者あたりの利益は薄いはずだが、「なりふり構わず、利益の出る分野には進出する傾向にある」(多田羅代表)。

 だが、大手を漁場としてきたクレジットカード業界が、わざわざ中小をねらう理由は1つではないだろう。

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