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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第218回

Thunderbolt 2はケーブルは同じで転送量は2倍になる!

2013年09月02日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/

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試行錯誤の連続で
コントローラーを熟成

Thunderboltコントローラーのサンプルチップ

 WindowsマシンのThunderboltコントローラーは当然インテルが製造することになる。基本は下の画像が示すように、PCIe x4レーンでPCHにぶら下がるほか、DisplayPortからの入力を受け取り、これをまとめて送り出す形になる。

Thunderboltを制御するコントローラーの基本的な構造。DisplayPort 1.1が2系統あるのは、ノートでも内蔵GPUだけでなく外部GPUをオプションで選べる場合があることに配慮したものと思われる

 基本、と書くのは応用もあるからで、簡潔にしたものが下の画像のSystem Bである。最近話題が出てきている拡張カードも、こちらに近い可能性がある。

Thunderboltのリファレンスデザイン。System Aは直上の画像と同じ。System Bは低価格なノート向けの構成を意識しているが、現実問題としてそういう製品はない

 そのThunderboltのコントローラーだが、現時点で少なくとも3世代のコントローラーがあることがハッキリしている。

Thunderboltのコントローラー、3世代の製品比較。ピン数が大きいのか、プロセスを微細化してもHost側はあまりパッケージを小型化できない

 下図がその構成であるが、まず第一世代の製品にあたるのが、Light Ridgeこと「CV82524EFL」である。この派生型として「82523EF」と「82523EFL」という製品があったことは判明しているが、具体的にどう違うのかがハッキリしない。

Thunderboltコントローラーの歴史

 「CV82524EFL」はホスト/デバイスの両対応で、Thunderboltを4ch、ポート数にして2つをサポートし、I/FはPCI Express Gen2の1×4もしくは4×1、ほかにDisplayPort 1.1aもSinc×2、Source×1をサポートする、言ってみれば“全部入り”である。

 これはさすがに大きいということで、機能をほぼ半分に減らしたのがEagle Ridgeこと「DSL2310」、さらにデバイス内蔵用にホスト機能を全部省いた低価格製品がPort Ridgeこと「DSL2210」である。

 パッケージサイズは、「CV82524EFL」が15mm×15mmと大きかったのに、「DSL2310」は8mm×9mm、「DSL2210」では5mm×6mmと大幅に高速化された結果、例えばThunderboltのGbEドングルなどが現実的なサイズで作れるようになった。

 これに続くのが第2世代にあたるCactus Ridgeである。ハイエンドにあたる「DSL3510L」は、機能的には「CV82524EFL」と同じながら、プロセスの微細化などで“若干”消費電力を落とすとともにパッケージサイズを抑えたもの、「DSL3310」はローエンド向けに機能を抑えた、「DSL2310」の後継にあたる。

 第3世代のRedwood Ridgeは2013年4月に発表されたもので、ついにDisplayPort 1.2への対応が追加された。こちらもハイエンドの「DSL4510」とローエンドの「DSL4410」の2つが提供されるが、消費電力その他は今のところ公開されていない。

 さて、これに続くのが第4世代のFalcon Ridgeである。こちらは今年4月に米国のNABというイベントでデモが行なわれたものであるが、最大の特徴はThunderbolt 2に対応していることだ。

Thunderbolt 2のコントローラー。だったら最初からこうすればいいのに……という気はする

 Thunderbolt 2とは、元々Thunderboltケーブルには2ch分のThunderboltの信号を通せるようになっている。そこで、これを1chにまとめれば倍の20Gbpsとして動作できる、というものである。

 電気的には従来のThunderboltと同一なので、ケーブル類は現在のものがそのまま利用できる。下の画像にもあるように、今年中にコントローラーの量産に入る模様で、これを搭載した製品は来年以降に本格出荷されることを予定している。

消費電力や価格が課題
Thunderboltの普及はなかなか厳しい?

 さて、ここまでがんばっているThunderboltだが、「未来が明るいか?」というと、やや謎である。理由は簡単で、Thunderboltは高額かつ、消費電力も多く、代替規格も存在するからだ。

 Macの市場は、アップルが徹底的にI/OをThunderboltに絞った関係で他の選択肢はなく、サードパーティーもこれに追従する形でThunderbolt対応製品をリリースしているが、それ以外のWindowsやLinuxといった市場ではそんな状況にはなっていない。

 高速I/OといってもストレージならeSATAがあるし、SATA ExpressやNVM Expressでもいい。汎用I/OはUSB 3.1がまもなく登場するわけで、もっと帯域が必要なら現在規格策定中のPCI Express OCuLinkという選択肢もある。モバイル向けもM.2が出てきているから、どうしても外部に接続する必要がある場合以外はこれで事足りる。

 特にモバイル機器の場合、最近はバッテリーでの待機時間が数週間、稼働時間は半日を目標にしており、これを実現するために消費電力を0.1Wの単位でこつこつ削っているのに、ホストとコントローラーだけで2~3W、さらにケーブルで追加の1Wという消費電力増はまず受け入れられない。

「Thunderbolt Technology」のロゴ

 価格に関しても問題は多い。Thunderboltの一番の問題は、これがオープンスタンダードではないことだ。そもそも仕様書の開示からして秘密保持契約を結ぶ必要がある。

 またこれは公式には未確認情報ではあるが、Thunderbolt対応製品の製造には、それなりのロイヤリティーも発生する模様だ。おまけに、コントローラー類をさらに追加しないとならない、というわけで価格を下げられる要因がまったくない。

 Thunderboltを使わざるを得ないMacはともかく、必要のないWindows方面で反応が鈍いのは当然と言えるだろう。この状況は、Thunderbolt 2が出てもあまり改善しそうにない。

 もちろんアップルがThunderboltを捨てない限り、Thunderboltそのものは今後も残る(このあたりはIEEE-1394に通じるものがある)と思われるが、広く普及しそうな気配は相変わらず見えてこないのがThunderboltの実情であろう。

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