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末岡洋子の海外モバイルビジネス最新情勢 第85回

「Firefox OS」ローンチから1ヵ月、市場拡大すすめるMozilla

2013年08月21日 14時00分更新

文● 末岡洋子

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端末は2機種+1
ZTEは米・英のeBayでも販売

 つづいて端末側を見てみよう。まずはTelefonicaらに採用されているZTEが、先週末にZTE Openを英国と米国のeBayで販売開始した。キャリアを問わないSIMフリー版で、各国向けのアプリや設定がないタイプだ。

ZTEはみずからeBayでSIMフリー版を販売している

 英国では59.99ポンド、米国では77.99ドル――日本円に直すと7700円~9200円ほどとなる。なお、スペインのMovistarでは30ユーロ相当の通話やSIMカードが付いて69ユーロ(約9000円)、2年契約の場合は2.38ユーロとなる。Mozillaは米国はSprint、英国はHutchison 3と提携しているが、ZTEはSIMフリー版をeBayで提供する目的について、「より多くのコンシューマーにリーチするため」と説明している。執筆時点で、米国のeBayでは985台を、英国では990台を売っている。

 SIMフリーのFirefox OSスマートフォンはこのほか、スペインのベンチャーGeeksphoneも直販している。同社は4月に発売した開発者向けの「Peak」「Keon」に加え、9月には初のコンシューマー向け「Peak+」を発売する。Peak+の価格は149ユーロ、他の2機種と比べると高めとなる。7月末のPeak+の発表の際にMozillaはこれを報じた欧米各紙に対し、Peak+はFirefox OSスマートフォンとしての認定を受けておらず、(Firefox OSの前身である)「Boot to Gecko技術をベースとした」スマートフォンという表現を用いている。

Firefox OSは四半期おきにリリース

 Mozilla側の取り組みも進んでいる。MozillaはFirefoxがバージョン1.0に達したことを受け、7月にはFirefox OSのリリース方針としてリリースサイクルを四半期(3ヵ月)おき、セキュリティ修正を含むバグ修正を6週間おきに行なうと発表した。「モバイルOSの中で最も積極的なリリース戦略」とMozillaは自負している。将来Firefox OS機種が増えた場合、Androidのような分断化をどう回避するのかも注目される。

 また、アプリケーションマーケット「Firefox Marketplace」ではモバイル決済サービスBangoと提携を発表、Firefox Marketplaceでのユーザーの利用に対してオペレーターが課金できるようになった。

 今年のMWCで新しいモバイルOSとして大々的にアピールしたのはMozilla(Firefox OS)、Canonical(Ubuntu)、Jolla(Sailfish OS)、Tizenの4つ。その中で、すでにキャリアから製品が登場しているFirefox OSは頭一つリードしていると言える。

 現在のローンチ市場や端末からは、スマートフォン需要増が見込まれる途上国をターゲットとしていることが明らかだが、価格が下がりつつあるAndroidとどう対抗するのか? 端末の価格だけではなく利用できるアプリケーションも成否を左右しそうだ。

 Firefox MarketplaceにはTwitterやFacebookはあるが、WhatsApp(海外で人気があるインスタントメッセンジャー)やYouTubeはなく、人気アプリが一通り揃っている状態にはない。また、フラッグシップといえる端末もない。MozillaはAndroidとiOSに代わる選択肢を提供しようとするオペレーターのプッシュを頼りとしているように見えるが、これが奏功するかはまだ分からない。


筆者紹介──末岡洋子


フリーランスライター。アットマーク・アイティの記者を経てフリーに。欧州のICT事情に明るく、モバイルのほかオープンソースやデジタル規制動向などもウォッチしている

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