Nokiaが2011年2月に発表した、Microsoftとの提携によるWindows Phone戦略には、いまだに賛否両論ある。これについてNokiaのCEO、Stephen Elop氏は「Androidは1社に独占されることになると予想した」とAndroidを選ばなかった理由を説明した。
Androidで生まれる利益の9割はSamsungが持っていっていると言われており、その予想自体は見事的中したと言えるが、Windows Phoneで対抗できるかとなると、まだElop氏の判断の正しさは判断できない。
LumiaはBlackBerryを超えてた!
しかしエントリー向けの「Asha」が苦戦に
それでも光は見えつつある。Nokiaが7月に発表した第2四半期の業績報告によると、Windows Phoneブランド「Lumia」の販売台数は740万台。これは前年同期と比べると約2倍増で、前四半期(第1四半期)比では32%増。四半期ベースで過去最高の数字となる。
それだけではない。740万という販売台数により、NokiaはWindows PhoneではじめてBlackBerry(旧RIM)を上回ったのだ。BlackBerryは5月、直近の四半期の販売台数を680万台と発表している。BlackBerryを上回って、名実ともに第3のスマートフォンプラットフォームになれるのか――これは、今回のNokiaの決算報告の大きな焦点の1つだった。無事にこれをクリアしたことで、NokiaはWindows PhoneとともにAndroid、iOSに次ぐプラットフォームとなった。
だが新たな問題も浮上している。これまでSymbianからWindows Phoneへの移行期にNokiaの沈没を防いできたミッドレンジ~エントリーラインの「Asha」が、ここにきて苦戦しているのだ。

Nokiaを支える新興国向けのローエンドのスマートフォン
AshaはNokiaのSeries 40をベースとしながら、タッチ操作やQWERTYキーボードなどハイエンド端末の要素を取り込んだシリーズだ。中国やインドなどのアジア、アフリカなどの途上国市場のニーズに応えるものとして、2011年に登場以来、これまで順調に機種を拡充し、販売台数を伸ばしてきた。ところが第2四半期は430万台、これはほんの2四半期前(2012年第4四半期)に迎えたピークである930万台の半分となる。
Ashaに襲いかかる暗雲はAndroidだ。Android端末の低価格化が進み、100ドルラインのAndroidスマートフォンが多数登場している。中国など地元ベンダーもAndroidを使って地元市場向けに低価格ラインを作成しており、Ashaの潜在ユーザーを奪っている。
エントリー分野ではMozillaの「Firefox OS」など新興勢力の登場も始まっており、スマートフォンでは最も動きの激しい分野だ。Nokiaは5月にAshaの最新機種「Asha 501」を発表、ソフトウェアアップデートでより“スマートフォン”に近づけ、UIや操作性を改善した。外観も黄色、赤などLumiaでのNokiaのイメージを感じさせるデザインだ。価格は約99ドル。Asha 501でNokiaはアプリ開発を促進する開発者向けのプログラムも展開する。Asha 501が成功するか否かは、この分野の要となりそうだ。

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