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議論が苦手な日本人に

ザ・ハフィントン・ポスト日本語版は受け入れられるのか?

2013年05月15日 09時00分更新

文● コヤマタカヒロ

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そもそもザ・ハフィントン・ポストはなぜヒットしたのか

 ザ・ハフィントン・ポストは2005年5月にアリアナ・ハフィントン氏がアメリカ市場でスタートしたニュース・ブログサイトだ。サービス開始当初から注目を集め、政治家、有名人、学者、そして多くの一般市民ブロガーなどが記事を投稿。過去にはオバマ大統領やヒラリー・クリントンなども記事を発表している。

 では、ザ・ハフィントン・ポストが注目を集めるきっかけは何だったのだろうか。

アリアナ・ハフィント氏(以下、アリアナ) 「ブレイクスルーには大きな要素と小さな要素がありました。大きな要素のひとつが、イラク戦争に反対という立場を取ったこと。そのとき何百ものブログがハフィントン・ポストに集まり、いろんなニュースやストーリーが投稿され、読者を引きつけることができました。その後、ある程度のブログや読者に残っていただいています。

 小さな要素としては、著名人や有名ブロガーの参加により、その方々のファンが引き込めたことです。投稿された記事はSNSなどにクロスポスティングされ広がり、相乗効果がブレイクスルーに繋がったと考えています」

 さらにCEOのジミー・メイマン氏はより広い視点でヒットの要因を分析する。

ザ・ハフィントン・ポスト・メディアグループCEOジミー・メイマン氏

ジミー・メイマン氏(以下、ジミー)「2005年にサービスを開始したとき、アメリカではまだブログ市場は成熟していませんでした。しかし、アリアナとそのチームはブログとニュースを繋げるプラットフォーム作りをやってきました。

 読者が思っていることを発信できる「ソーシャルニュース」という新しい議論の場を作り上げることができたからこそ、今のザ・ハフィントン・ポストがあるのだと思います。そして、これこそが私たちが日本でこれからやろうとしていることなのです」

 日本ではインターネットの普及以降、個人サイトや大規模な掲示板などが広がったが、アメリカではそれほど一般的にならなかった。市民ひとりひとりが意見を言う場としてTwitterやFacebookなどのソーシャルメディアが芽吹くなか、いち早く登場したザ・ハフィントン・ポストが言論空間のひとつとして市民権を得ていったようだ。

 しかし、同様のサービスは過去にもあった。また、日本市場ではすでに多くのブログ、ニュースサイトが存在している。そういった競合に対して、ザ・ハフィントン・ポストにはどのようなアドバンテージがあるのだろうか。

アリアナ 「申し上げたいのは、ライブであると言うことです。たとえばボストンマラソンの不幸な事件では、ニュース報道に加えて、犯人が潜んでいた街の人々がブログを書いたり、写真やビデオを投稿してくれました。また、ジャーナリストなどもブログを投稿します。

 このように、ひとつの事件をありとあらゆる角度から取り上げることができるのが、既存メディアとの大きな違いだと考えています。ただし、私たちはライブだからといってすぐ出すのではなく、きちんと確認するということ気をつけてきました。信憑性を確認した上でさまざまな情報を発表する。この2つがほかのメディアとの違いではないでしょうか」

ジミー 「ニュースが求められるスピード、サイクルは変わってきています。常にアップグレードされた、より新しいものをみたいという欲求が高まっており、それに答えなければいけません。

 ザ・ハフィントン・ポストでは、5年前は1日に約200の記事を発信していました。それが現在では1日約1600です。58秒間に1本の記事を生成しているのです。これは市民と専門家による記事、そして事件報道があり、すべてが同じタイミングでミックスされているからこそ、実現できたと思っています」

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