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末岡洋子の海外モバイルビジネス最新情勢 第77回

ソフトバンクのSprint買収は実現する? 激動期の米通信業界

2013年05月01日 16時00分更新

文● 末岡洋子

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T-Mobile USAとMetroPCSが合体
次はVerizonが動く?

 アメリカの通信業界は4月、もう一つ大きなニュースがあった。4番手のT-Mobile USAと5番手のMetroPCSの合併について、株主がこれを承認したのだ。2社の合併合意は、Sprintとソフトバンクが合併合意を発表したのと同じ10月に発表された。すでに規制当局の承認を得ており、最終関門をクリアしたことで5月1日にも取引完了を見込む。合体後の加入者数は約4000万人で、全米4位という順位に変動はない。だがT-Mobile USAは今年4月にiPhoneの提供を開始したところでもあり、勢いを付けたいところだ。

 さらには、最大手Verizon Wirelessと同社に出資している英Vodafoneについても、憶測が絶えない。発端の1つとなった4月初めのFinancial Timesの記事は、VerizonとAT&Tが共同でVodafoneを買収(金額は2450億ドルとも予想されている)するというもの。このほかにも、Verizonが単独でVodafoneを買収するという憶測も報じられている。

 Verizon、AT&T、Sprint、T-Mobile USAで4大キャリアとなるが、上位2社(VerizonとAT&T)とそれ以外(SprintとT-Mobile USA)の間の差は広がっている。第1四半期、Verizonは67万7000人の加入者を新たに獲得し、AT&Tは29万6000人増やした。一方で、Sprintは41万5000人を失っており、iDEN閉鎖によりNextelのユーザーを他社に持って行かれている形だ。上位2社が戦略的拡大を図り、SprintとT-Mobile USAは合併により生き残りを図る――この構図を考えると、今後もさらなる動きがありそうだ。


筆者紹介──末岡洋子


フリーランスライター。アットマーク・アイティの記者を経てフリーに。欧州のICT事情に明るく、モバイルのほかオープンソースやデジタル規制動向などもウォッチしている

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