NTTドコモは2012年度通期決算と、2013年度の取り組みについて、記者会見を開催。同社代表取締役社長 加藤 薫氏によって説明が行なわれた。
MNP流出がつづくドコモ
夏モデル発表会は例年通りに5月中旬
2012年度通期の営業収益は4兆4701億円と、前年比で2301億円の伸び。これにはパケット収入やスマートフォンの販売数が大きく寄与している。一方で、端末の実質価格を抑えるための「月々サポート」による影響などが大きく、営業利益は8372億円に留まり(2011年度は8745億円)、増収減益となった。
ネガティブな要素として大きく響くのがMNP転出増にともなう、純増数での苦戦。特に9~11月は厳しい状況だったと、加藤社長も認めた。一方で春商戦については、学割を中心とした家族向けの割引サービスや、Xperia Zが2ヵ月半で約63万台に達するヒット商品となり、好調であったと振り返った。
すでにスタートしている2013年度の事業運営方針は「スマートライフのパートナーへ」という言葉を用いている。デバイス/ネットワークといった、ドコモが変わらず重要視している基本要素はもちろん、キャリアに縛られない形でのクラウドサービスの拡充で、“新領域”での収益源拡大を目指す。
まず、デバイスについては、例年通り5月中旬に夏モデル発表会を予定。春モデルでは“一押しモデル”として、「Xperia Z」をハッキリとプッシュするなど、それまでのドコモにない姿勢を示した。これは夏モデルでも同様。ラインナップを絞り込むとともに、「どれがオススメですかというのをよく聞かれるので、これがオススメというのをセットしたい」とコメントした。
Xiの拡大をさらに加速する
月525円でコンテンツ使い放題の新サービスも
つづいてネットワークは、Xiのエリア拡大をさらに加速する。Xiの基地局は2013年3月時点で2万4400局だが、2014年3月には5万局と倍増。山手線に乗っている間、ほぼLTEで接続できるように質面でも強化する。
高速エリアも拡大し、75Mbpsの基地局を2013年6月には1万5000局に。さらに今年度中に下り最大150Mbpsのサービスも始める。技術畑出身の加藤社長らしく、ネットワーク整備の説明では力も入り、「ネットワークは生き物。時間と場所と使い方で刻々と変わっていくが、他社の1.3倍のスループットを目指していきたい」と語った。
サービスでは、「ドコモ サービスパック」を5月中旬にスタート。このうち「おすすめパック」は、約100のオススメコンテンツとiコンシェル、ドコモクラウドの容量50GBアップがセットで月525円。先行している「auスマートパス」に比べると、コンテンツ数が少なく感じるが、ユーザーが悩むことがないようあえて厳選し、本当にオトクでオススメのものだけ入れていくという方針のようだ。
iPhoneを持たない中で苦戦がつづくドコモだが、iPhoneについては「日本において魅力的な端末であることに変わりない」とこれまでと同じコメント。なんらかの状況の変化を示す情報はなかった。夏モデルではAndroidの人気ブランド端末が登場することが予想されるが、それらデバイスの魅力をはじめ、ネットワーク/サービスなどの面で他キャリアとどのような競争をしていくかに注目と言える。