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未来のテレビはCMを差し替え!? グレースノートの最新技術

2013年04月18日 14時26分更新

文● ASCII.jp編集部

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リアルタイムで放送中のテレビの音声をタブレットで認識し、その番組のシーンに合った情報を提供する、というデモ

リアルタイムで放送中のテレビの音声をタブレットで認識し、その番組のシーンに合った情報を提供する、というデモ

 楽曲情報や番組表の提供サービスを行なっているグレースノートが、日本でプライベートイベントを開催。最新技術のデモンストレーションなどを行なった。

 グレースノートは1億3000万の楽曲情報と28ヵ国分の番組表のデータベースを保有するメタデータ提供サービス企業。本社はアメリカで、東京やミュンヘン、ベルリンなどに支社を持つ。ソニー・アメリカの子会社ということで、ソニーの製品にその技術が多く採用されている。

 まずはテレビで放送中の番組の音声を、スマートフォンやタブレットの音声認識(ACR)で識別し、番組を特定するというデモ。

 サーバー側では放送中の番組のフィンガープリント(特定するためのデータ)をデータベースに登録。そのデータを参照して番組を特定した上で、同社のデータベースから関連する情報などを引き出して表示する。

「TELEPORT」というタブを開くと情報が次々と更新されていく

「TELEPORT」というタブを開くと情報が次々と更新されていく

ACRの仕組み図

ACRとコンテンツ配信の連携の仕組み図

映画「007 スカイフォール」の予告編を使って音声認識による映像コンテンツの関連情報配信サービスのデモを披露

 音声認識はリアルタイムで行なわれ、番組の進行とともに情報も更新されていく。アメリカやヨーロッパの約200局のテレビ局の番組でりようできるほか、日本のテレビ局(関東7局、関西6局)にも対応している。

 また、音声認識を利用するため、DVDコンテンツなどでも利用可能だ。

番組が識別できるようになることで、番組関連情報や出演者の表示も可能になる

番組が識別できるようになることで、番組関連情報や出演者の表示も可能になる。アメリカはケーブルテレビの普及でSTBを利用する場合が多く、テレビ側で情報を取得、表示するには映像や音声で認識するのが最適、という事情もある

 上記は音声認識技術だが、映像認識技術のデモも行なわれた。「Video ACR」は現在放送中の番組の映像をテレビ(受像機)側で解析し、番組を特定する。

 これによりテレビに関連情報をリアルタイムで表示できる。テレビ受像機が対応している必要があるが、性能的には2年ほど前のテレビでも実現化可能で、ソフトウェアアップデートで実装することもできるという。

写真の3台のテレビは、番組本編は同じ映像を表示しているが……

写真の3台のテレビは、同じ番組本編を表示しているが……

CMになると別々の映像が流れる。一番右が実際の放送で、左の2つの画面はリアルタイムで差し替えられたCM

CMになると別々の映像が流れる。一番右が実際の放送で、左の2つの画面はリアルタイムで差し替えられたCM

 このVideo ACRを応用すれば“CMの差し替え”といったこともできる。具体的には、番組CMがはじまる際に、年齢や性別などユーザーのプロフィールに合わせ、そのユーザーニーズに合ったCM(サーバーに保存されているもののオンライン配信)に切り替える、というもの。

CM差し替えの仕組み図

CM差し替えの仕組み図。イベント管理の部分でどんなCMをどのくらいの長さで配信するかを決定する。もちろん、実際に放送のCMと差し替えのCMの長さが同じになるように調整も行なう

 アメリカでは今年から2014年にかけて実証実験を行なうとのこと。日本でこのサービスが展開できるかは不透明だが、この映像認識技術自体は音声認識よりも番組の特定にかかるスピードが速い、というメリットがあり、何らかのサービスとして展開できそうだ。

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