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松村太郎の「西海岸から見る"it"トレンド」 第20回

米国のビデオブロガーと東北被災地をテクノロジーで巡る旅

2013年03月31日 14時00分更新

文● 松村太郎(@taromatsumura

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震災から2年、ギアチェンジが必要なとき

 今回のツアーでは、一関から気仙沼へ向かいそこから南三陸町、女川町を経て石巻にあるヤフー石巻ベースまでを巡りました。iPhoneアプリの「Moves」で記録した地図を見ると、今回訪れた場所は震災や津波の被害に遭った場所のごく一部でしかないことが分かります。

Moves App
価格無料 作者ProtoGeo
バージョン1.4.1 ファイル容量10.2 MB
カテゴリーヘルスケア/フィットネス ユーザーの評価(4)
対応デバイス 対応OSiOS 6.0以降

 都市だった場所はすでに新しい家が建ち始めている場所もありました。しかしリアス式海岸の1つ1つの入り江にある町々の状況は、がれきが片付いて更地になったという場所が、震災の処理が”進んでいる”場所だという現実を目の当たりにしました。多くの場所で、まだがれきが積み上がっていたり、家の基礎が残されていたり、船や津波で倒された建物がそのままになっているのです。

Movesで記録した筆者の移動

 気仙沼では仮設の店舗を訪れましたが、地元の人がちょっと手伝いに来たり、そこで食事をしながら、コミュニティーの再構築を進めている、そんな温かい風景も見つけることができました。しかし「仮設」は「仮設」。例えば復興屋台村 気仙沼横町は、堤防建設のため、11月でその契約期間が終了してしまうそうです。

 Caliさんたちがテルテルコンシェルジュでインタビューした菊池幸江さんは気仙沼で飲食店を経営していて、仮設店舗を出店していますが、屋台村の終了後については「少し休むかもしれない」と言っています。もともと自分のお店があった場所は自力でかさ上げの工事をしなければならず、同じ場所で再び再開するのは現実的ではないからです。

 また今回のツアーの最後の取材地、ヤフー石巻ベースでインタビューした須永浩一さんも、これまでの復興支援という名目でのヤフーショッピングでの商品販売から、競争力ある商品を発見し、育てていくフェイズへと移っていく必要があると指摘していました。助けあいジャパンの野田さんも、地域によって状況が違う中で、関心が薄れつつあり、国や行政の支援から自分でビジネスを立ち上げていく支援へと移らなければならない、とギアチェンジの必要性を強調しています。

ヤフー石巻ベースで、ヤフー株式会社復興支援室の須永浩一さんにインタビュー。3年目となり取り組み方への変化の必要性を指摘

ヤフーのご担当者の名前に当初誤りがありました。正しくは上記になります。読者ならびに、関係者各位にご迷惑をおかけいたしました。お詫びして訂正させていただきます。

 確かにモバイルやソーシャルといった新しいメディアの活用といったことは簡単に言うことができますが、誰もがこれらのツールに長けているわけではありません。一方で、地域のコミュニティー意識と外部の人たちによる支援というリアルな人のつながりは少しずつ進んでいるように感じました。

 例えば、若くてデジタルが得意な人たちがコミュニティーの中でツールの使い方を教えるといった学びの場も作れるでしょう。その上で、ツールをどのように使えば良いか、というアイディアが必要になります。実際に現地に行って、足りないこと、やれること、やりたいことはたくさん出てきます。こうしたアイディアを地元の人に話してみるチャンスから、作って行かなければならないと感じました。

 CaliさんとJohnさんの番組は、これから彼らのメディアで発信されます。Google+などで共有される情報について、我々も補足説明を加えながら、海外の人たちによる深い理解の手助けをしていければと思っています。

南三陸さんさん商店街。鉄道路線の代替となるバスターミナルも完成し、コミュニティー再興の拠点になりつつある


筆者紹介――松村太郎

 1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。米国カリフォルニア州バークレーに拠点を移し、モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。

公式ブログ TAROSITE.NET
Twitterアカウント @taromatsumura

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