ヒューマンセントリック技術で使い勝手を良く
前回は子供のように「最強、最強」と言ってきたが、ARROWS Vの売りはスペックだけではない。富士通が開発したヒューマンセントリックエンジンも魅力的な性能のひとつだ。
ヒューマンセントリックは、人間(ヒューマン)を中心(セントリック)にスマホを制御する仕組みのこと。人によっては電車で横長の広告を見かけたことがあるはずだ。それがどのあたりに効いてくるのか、実際に使いながら、確かめていく。
分かりやすかったのは電話の声だ。駅のプラットフォーム、スクランブル交差点、ランチタイムの混雑したカフェなど、うるさいところから電話がかかってきたとき、声にあたる音域を持ちあげるため、驚くほど聞こえやすくなる。この「スーパーはっきりボイス」機能は第3バージョン。増幅するゾーンを微調整し、自然に音声として聞こえるようにした。その性能の高さから、カーレースでピットクルーとドライバーの間でも使われているという。
●スーパーはっきりボイス3で、通話中のノイズも減少します
そんなエンジンの重要なはたらきの1つは、センサーを使う際の消費電力を低くおさえることだという。人間の体をとらえるときは、加速度、ジャイロ、近接、各種のセンサーを使う。そこをいかに効率的にするかというのがエンジンの役割だ。
「スッキリ目覚まし」機能が分かりやすい。マイクでいびきをとらえ、加速度センサーで寝返りの回数を測定し、どのような状態で睡眠がとれているかを確認する。その上で、目が覚めやすい、浅い眠りのときに起こしてくれる。おなじような機能を持ったアプリでは、しっかり充電しておいても朝を迎えるまでに充電0%ということもある。対して、スッキリ目覚ましの場合、寝るときの電池残量が充分なら、朝までバッテリーを残してくれる。
●「深い眠り」センサーで判定しても電池長持ち
実用性が高かったのは「持っている間ON」。使っているあいだは画面が消えない。加速度センサーで本体の揺れを感じ、操作をしていなくても、常に画面をオンにする。どうしてこれがほかのモデルに搭載されないのか不思議なくらいだ。また、前回ゲームをやっていたとき、指の腹でさわっても誤作動しなかったのは「うっかりタッチサポート」も秀逸。使う人の手クセにあわせてタッチセンサーのはたらきを制御し、指の腹が画面の端にかかって触れていても誤動作を起こさないのだ。
指紋センサーにも、ヒューマンセントリックエンジンが使われている。セキュリティー云々より、パスワードを入れる面倒がないことが重要だ。会員IDのログインが必要なサイトなどを指紋認証でサクッと入力できる。小文字大文字が入り交じる、長ったらしい暗号のようなものを入力しなくても済むのだ。
なお、指紋センサーを長押しするとプライバシーモードを起動可能。NX!電話帳やNX!メール、着信履歴はもちろん、ブラウザーのブックマーク、ギャラリー、文字入力の予測辞書に至るまで非表示設定ができる徹底ぶり。プライバシーが気になるユーザーも、安心して利用できるだろう。
●面倒くさいパスコード入力は指1本でショートカット