このページの本文へ

初歩から分かるBD活用講座 第15回

HDオーディオを楽しむための機器を紹介

BDの音声を存分に楽しむための周辺機器

2012年09月20日 11時00分更新

文● 二瓶 朗(グラムワークス)

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

BDレコーダー/プレーヤーをHDテレビに接続すれば、すぐにでもBDタイトルを美麗なHD画質で楽しめる。しかし、それだけではBDのメリットを十分に享受しているとは言いがたい。というのもご存じのとおり、BDタイトルでは、高画質な映像を堪能できるだけでなく、高品質な「音声」も同時に楽しむことができるからだ。今回は、そんなBDの美しすぎる音声までをキッチリ楽しむための周辺機器について触れていこう。

 まず、BDがどのような規格に対応して「高音質」とされているのかをカンタンにおさらいしよう。BDは、DVD時代からサポートされている音声フォーマット「リニアPCM」「ドルビーデジタル」「DTSデジタルサラウンド」の3種類に加え、「ドルビーデジタルプラス」「ドルビーTrueHD」「DTS-HDハイレゾリューションオーディオ」「DTS-HDマスターオーディオ」といった新世代の音声フォーマットに対応している。また「リニアPCM」は、ディスク容量に余裕が出たことから「マルチチャンネルリニアPCM」に対応している。それぞれの特徴を、ごくカンタンに以下の表にまとめた。

フォーマット名 圧縮の種類 最大ch 最大ビットレート サンプリング周波数
ドルビー
ラボラトリーズ
ドルビーデジタル 不可逆 5.1ch 640kbps 48kHz
ドルビーデジタルプラス 不可逆 7.1ch 1.664Mbps 48kHz
ドルビーTrueHD ロスレス 7.1ch 18Mbps 48/96/192kHz
DTS(Digital Theater Systems) DTSデジタルサラウンド 不可逆 5.1ch 1.5Mbps 48kHz
DTS-HDハイレゾリューションオーディオ 不可逆 7.1ch 6Mbps 48/96kHz
DTS-HDマスターオーディオ ロスレス 7.1ch 24.5Mbps 48/96/192kHz
マルチチャンネルリニアPCM非圧縮 非圧縮 7.1ch 18Mbps 48/96/192kHz

 こういった新世代の音声フォーマットによって、DVD時代よりもより高音質なサラウンド音声でBDタイトルを楽しめるようになったのだ。これら新世代の音声フォーマットを「HDオーディオ」と総称することもある。特に、記録容量に余裕のあるBDでは、HDオーディオの中でもロスレス(可逆)圧縮方式でエンコードされた「ドルビーTrueHD」「DTS-HDマスターオーディオ」「マルチチャンネルリニアPCM」が採用されていることが多い。そして表中からもわかるように、各規格とも5.1chまたは7.1chのサラウンド再生を実現する。

 BDレコーダー/プレイヤーの多くは、それらのHDオーディオもしくは下位規格に対応しているから、薄型TVにHDMI接続すれば音声が再生できないということはない。しかし、特に最近の薄型テレビはダウンサイジングのために本体に対してスピーカーの占めるスペースが小さくなり、それに伴って搭載されるスピーカーも以前に比べてそれほど性能が高いものではなくなっているし、テレビのサウンド機能のみで5.1/7.1chサラウンドに対応する製品も多くない。そのため、BDタイトルに収録されたHDオーディオを存分に楽しむには、BDレコーダー/プレーヤーをテレビに接続するだけではなく、対応した周辺機器の導入を検討する必要がある。

HDオーディオに対応した周辺機器

 BDのHDオーディオを楽しむための周辺機器として、には、以下のようなものがある。

  • ホームシアターシステム
  • AVアンプ+サラウンドスピーカー
  • 仮想サラウンドヘッドフォン

それぞれについて解説しよう。

○ホームシアターシステム

 薄型テレビ、BDレコーダー/プレーヤーに接続することを主眼に置いたAVアンプと、数本のスピーカーがセットになった「ホームシアターシステム」。製品によっては、アンプとスピーカーが一体化していることもある。いずれにしても、リビングなどに設置してある薄型テレビの音声機能を拡充してHDオーディオで本格的なサラウンドを体感するには、一番手軽な手段といえるだろう。

 製品によっては特定のブランドのテレビやBDレコーダー/プレイヤーとの連携機能を持つものもある。逆に言えば、ブランドが統一されていないと連携機能が使えない可能性もあるということでもある。ホームシアターシステムには以下のようないくつかの種類がある。

・AVアンプ独立タイプ

 テレビ、BDレコーダー/プレーヤーと接続するAVアンプに、スピーカーがセットになっている製品。スピーカーは5.1ch対応ならばスピーカー5基+ウーファー1基、7.1ch対応ならばスピーカー7基+ウーファー1基という構成となる。一般的には、5.1ch対応の場合にはスピーカーを視聴者の前方に3台、後方に2台、ウーファーを適度な位置に配置する。7.1ch対応の場合は、メーカーによって推奨する配置が異なるが、5.1chの配置に後方スピーカー2基が加わることが多い。いずれにしても、スピーカーを配置するスペースが必要となるので、空間的に余裕のある環境での導入がオススメだ。

パナソニック「HT7000」。ビエラシリーズと連携できる、AVアンプとスピーカーが独立したホームシアターシステム

・フロントサラウンドタイプ

 テレビ付近に一体型の本体(AVアンプとスピーカー、ウーファーを内蔵)を配置する製品と、AVアンプ内蔵の数本のスピーカー・ウーファーを配置する製品があるが、いずれも省スペースなホームシアターシステムであることが大きな特徴。さらに「バータイプ」と呼ばれるよりスリムな製品も登場している。仮想的に5.1ch/7.1chサラウンドを実現する「バーチャルサラウンド」機能や壁に音を反射させることによって、実際に複数のスピーカーを置いた場合と近い音声を実現する。

 また、パイオニアは薄さと高音質を実現したHVT方式スピーカーのユニットを採用した「SOUND WING」搭載のホームシアターを販売している。薄いスピーカーの両面から音を放射するため、あらゆる方向に音が広がり部屋のどこにいても心地よい音場を楽しむことができる。複数のスピーカーを置くスペースがない場合でも、サラウンドの立体感と広がり感を堪能できるのが大きな特徴だ。

パイオニア「HTP-HW950」。スピーカー部はHVT方式のユニットを採用したため非常に薄く、テレビ画面をさえぎらずインテリアの邪魔にならないスタイリッシュなデザイン。

ソニー「HT-CT260」。バータイプのフロントサラウンドシステム。ワイヤレスなサブウーファーが付属する。

・テレビラックタイプ

 いわゆる「テレビ台」に、AVアンプとスピーカーが内蔵されている製品。テレビサイズに合わせた製品を購入し、その上にテレビを設置して、ケーブルを接続すればホームシアターが完成する。サラウンドシステム的には、フロントサラウンド製品同様のバーチャルサラウンドとなる。テレビやBDレコーダー/プレーヤーと同じ製品ラインナップとして発売されていることが多く、そのためにそれらとの機能連携もより強力だ。また、AVアンプとスピーカーが一体型となっているので、接続するケーブルも最小限で済むメリットもある。

ヤマハ「YRS-1100」。テレビラックタイプのホームシアターシステム。

○AVアンプ+サラウンドスピーカー

 より本格的にBDのHDオーディオを楽しむなら、単独で販売されている「AVアンプ」を選択するといいだろう。テレビやBDレコーダー/プレーヤー以外にも、ゲーム機やオーディオシステムなどさまざまなAV機器を接続できるうえ、音質の調整なども自在。また、スピーカーも自分で選択、組み合わせて導入できる。広く自由な製品導入を検討できるということは、逆にそられの製品情報に精通している、ある意味AVツウ向けの製品といえる。

パイオニア「SC-LX56」。9.1chに対応のAVアンプ。Class D「ダイレクト エナジー HDアンプ」搭載により、高音質・高出力を実現。 AirPlayなど話題のネットワーク機能に対応しているところも魅力。

パイオニア「Series 7」スピーカーシステム(公式サイト)。AVアンプに組み合わせて高品位なホームシアター環境を構築できる。

○仮想サラウンドヘッドフォン

 省スペースであるバータイプのホームシアターシステムすら置くスペースがないとか、集合住宅なので夜中にそんな迫力あるサラウンドを楽しむのは憚られる……というような場合にオススメなのが「仮想サラウンドヘッドフォン」だ。主に1人でBDタイトルを楽しむことが多い、という人にもオススメ。密閉型ヘッドフォンで、仮想5.1/7.1chサラウンドを体感できる。

ソニー「MDR-DS7500」。ワイヤレスでバーチャル7.1chサラウンドを実現するヘッドフォン。

 と、HDオーディオを楽しむための周辺機器はこのような製品がある。いずれの製品を選ぶ場合でも、まずは「ドルビーTrueHD」「DTS-HDマスターオーディオ」といったBDに採用されているHDオーディオのデコードに対応してるかどうかを確認することが必要だ。これらの製品を購入し、あとはHDMIケーブルで接続すれば、BDの音声は存分に楽しめる。

 価格的には、「AVアンプ+スピーカーセット」>「AVアンプ独立型ホームシアターシステム」>「テレビラックタイプホームシアターシステム」>「フロントサラウンドタイプホームシアターシステム」>「仮想サラウンドヘッドフォン」という感じになるだろうか。BDをさらに深く楽しみたいのなら、財布と相談してぜひ音声周りの周辺機器を整えていこう。

カテゴリートップへ

この連載の記事

週刊アスキー最新号

編集部のお勧め

ASCII倶楽部

ASCII.jp Focus

MITテクノロジーレビュー

  • 角川アスキー総合研究所
  • アスキーカード
ピックアップ

デジタル用語辞典

ASCII.jp RSS2.0 配信中