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「和楽花道中 杵家七三社中傑作撰〜ボカロ曲を演奏して戴いた〜」

本気すぎるPVがスゴい! 純邦楽×ボカロのCD「和楽花道中」

2012年09月23日 12時00分更新

文● 広田稔(@kawauso3

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ボーカロイドの有名曲を和楽でカバー
伝統の刷新に挑む「期待の玄人」

 11月21日、純邦楽が有名ボカロ曲をカバーした「和楽花道中 杵家七三社中傑作撰〜ボカロ曲を演奏して戴いた〜」がリリースされる。通常のCD版と、DVD&Blu-rayが付属する2つのバージョンだ。

 今年2月に掲載した「消えゆく日本文化、若者につなげ ニコニコ動画に“再生”の灯」では、古くから受け継がれる伝統の世界で生きる人々が、ニコニコ動画をもとに新しい芸能に挑んでいる姿を紹介した。その活動の1つの通過点となるのが、今回の「和楽花道中」といえる。

メンバーはいずれもン年選手、和楽の達人。そんな彼らがニコニコ動画の曲に挑む。伝統と革新があわさった、まさに「期待の玄人」だ

 演奏は長唄三味線の杵家七三(きねいえ なみ)さんを筆頭に、箏・尺八・太鼓で構成された和楽器演奏楽団「杵家七三社中」。一部の楽曲では、ぽこたさん・蝉丸Pさん・鈴華ゆう子さん・佳館杏ノ助さんといったニコニコ動画出身の演者たちが「歌ってみた」で参加している。プロデューサーは、手妻(江戸古典奇術)の若き継承者、藤山晃太郎さんだ。

 注目は、DVD&Blu-rayに収録される、謎のクオリティーを誇るPV。純邦楽というにもかかわらず、LEDライトを多用したライブハウス「六本木ニコファーレ」で収録するなど、「おっ!?」と思わせる要素を盛り込んでいる。どんなねらいのもとCD&PVのコンセプトを煮詰めたのか、七三先生と藤山さんを直撃した。

「和楽・ダンシング☆サムライ」はニコファーレでPVを撮影した


ダイジェスト映像「和楽花道中 杵家七三社中傑作撰〜ボカロ曲を演奏して戴いた〜」 CD 2000円/CD+DVD 2600円/CD+Blu-ray 3000円

SMAPと同じ舞台に立ったのがうれしい

── 今回、アルバムとその付属DVD/Blu-rayのPVを作ることになったのはどういった経緯からでしょうか?

藤山晃太郎さん

藤山 Blu-rayについては、今年4月、和をモチーフにしたボーカロイド曲のコンピレーションアルバム「花楽里漫葉集 feat.初音ミク」を出した際に撮影した「和楽・千本櫻」というPVが影響しています。

 付属のDVD用に収める映像だったんですが、納品した映像が常軌を逸してた「神画質」だったため、「これをBlu-rayで出したいよね」という話が上がっていました。何しろ元の映像はネット越しで送るのが無理で、HDDを手持ちで納品したぐらいのデータ容量です。カメラも映画に使われる業務用で、デジタルで編集やエフェクトを加えずに切り貼りでつないだため画質の劣化がない。

 杏ノ助さんの歌が加わったインパクトと、元曲の「千本桜」自体が熱狂的な支持を受けていたという後押しがあったおかげで、ニコ動に投稿したダイジェスト動画も再生数が増えて、売り上げもきちんと確保できた。じゃあ七三先生メインでのCDも出せるのではという経緯で、ゴーサインがでました。

群馬県にある古民家で撮影した「和楽・千本櫻」のPV。コンピレーションアルバムといえば複数アーティストの人気曲を集めたもので、その付属DVDというかなり狭いポジションになる。そうした条件にも関わらず、演出や構成が異常なクオリティーなのでインパクトを与えた。ちなみに藤山さんによれば、潤沢な予算が撮れず、かなりの部分で七三先生の持ち出しがあったという。要するに金だけではない、作り手側の情熱で出来上がったPVだ。

── そういえば前回、藤山さんと七三先生を取材したあとの4月に、ニコニコ超パーティーに出演されました。幕張メッセのイベントホールで6000人を前にして演奏した訳ですが、そのときはどう感じられました?

七三先生 普段、私が演奏会をしているときの客層と全然違いました。あの瞬間、スターになった気分を味わえて、とてもうれしかった。私、実はSMAPの大ファンで、あのあとに同じ会場でSMAPがライブをやっている様子をテレビで見て「同じ舞台に立ったんだ」と(笑)。

杵家七三先生

── ええっ、SMAPファンだったんですか!?

七三先生 もう15年ぐらいファンクラブに入ってて、ライブは1回ぐらいしか欠かさないぐらい行ってます。10月14日に味の素スタジアムで開かれるコンサートのチケットも入手して、わくわくしております。


── それはかなり極められていますね(笑)。実はニコ動をあまり見られてないという?

七三先生 ニコ動も嫌というほど見てますよ。稽古中、すぐ横にパソコンがあるので、煮詰まるとぼんやりながめています。あとTwitterを見て「晃太郎ちゃん、今ここにいるのね」とか。最近のボーカロイド曲だと、「吉原ラメント」がいいですよね。もう少し早いタイミングででていれば、今回のアルバムでも演奏したかったです。

藤山 七三先生は僕に言われて嫌々やっているわけではなくて、「ニコ厨」なんです。今では僕より知ってるぐらいですよ。

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