ソニーは、積層型構造と呼ばれる新構造のモバイル機器向けCMOSセンサー「Exmor RS」を開発したと発表した。
従来の裏面照射型CMOSセンサーは支持基板の上に画素と回路を搭載していたが、積層型構造では回路チップの上に画素を乗せる形となっている。この構造により約40%程度の小型化が可能なほか、画素と回路の製造プロセスを別々にすることで、それぞれにより最適な製造プロセスを採用でき、回路も最先端のものが使える。これにより高画質化および高機能化というメリットもあるという。
積層型構造を採用したCMOSセンサーとして同社は、1/3.06型・1313万画素の「IMX135」、1/4型・808万画素の「IMX134」および「ISX014」という3モデルを用意。
IMX135とIMX134は従来の赤、緑、青に加えて白の画素を追加した「RGBWコーティング」を採用し、撮影感度アップが可能。また、動画のダイナミックレンジを画像処理により向上させる「HDRムービー」撮影にも対応する。
ISX014はカメラ信号処理機能を搭載し、オート制御や画質調整、複数の画像出力フォーマットなどへの対応が可能だ。
さらに、それぞれのイメージセンサーにオートフォーカス機構付きレンズユニットを搭載した小型イメージングモジュール(IU135F3-Z/IU134F9-Z/IUS014F-Z)も用意する。IMX135用モジュールはF2.2の明るいレンズを採用。1MX134用モジュールは従来のイメージングモジュールよりも小型かつ薄型になっている。
センサーおよびイメージングモジュールの出荷時期は今年の10月以降、順次となっており、早ければ年末に搭載製品が登場する可能性もある。
イメージセンサーで輝きを取り戻す
同社執行役 EVP デバイスソリューション事業本部 本部長の鈴木智行氏は「イメージセンサーは(同社の)コア事業の先端」を行くものだとし、「ソニーの輝きを取り戻すべく、デバイスでソニーを変える」と意気込みを語った。
また、業務執行役員 SVP デバイスソリューション事業本部 イメージセンサー事業部の上田康弘氏は、シェア30%を2013年に達成できる見込みではあるが、今回の製品投入により「もっとモバイル市場に貢献できるのではないか」との考えを示した。
さらに、スマートフォンの“波”が一段落した先のイメージセンサー事業について、テレビなどを指先で操作するセンサーの実装や、車などにたくさんのセンサーが搭載されることなどを予想し、「スマホ(におけるイメージセンサー)の市場規模よりも大きくなる」と述べ、ソニーの力を結集して臨むと語った。