人によっては「夏といえばコミケ」であるが、中国でも一部の人にとって「夏といえばコスプレ大会が開催される『動漫節』」である。
動漫節系で中国最大のイベントは毎年7月末に上海で開催されるゲーム系イベント「ChinaJoy」(ゲームイベントのはずだが、コンパニオンやコスプレーヤーばかり注目が集まるイベントとなっている)だが、中国は「ムーンライトながら」のような夜行列車で多くの人が集まるほどの狭い国土ではないためか、中国全土、北は黒竜江省ハルビンから南は雲南省昆明まで、夏にアニメ・ゲーム系コスプレ大会が行なわれる。
そのうちのひとつ、雲南省昆明で8月上旬に開催されたアニメフェスタ「第5届(第5回)雲南動漫節」に行ってみた。
中国の最果てとはいえこの盛り上がり
雲南省は最果ての省で、山が多く、少数民族が多くいるところで知られているが、そんなイメージとは関係なく現場は参加者の熱気に満ちあふれていた。
入場料は45元(約562円)と、当地では食事が4回とれるほど現地人にはやや高い金額であるが、そんなのはお構いなし。会場から出て帰る人々は、まるで東京ディズニーリゾートを出て京葉線に乗っている客がごとく、幸せのオーラに包まれていた。
会場はコスプレイヤー(中国語で「coser」)だらけであった。上海のChinaJoyよりも参加者のコスプレイヤー率は高いようにも思えた。初音ミクやNARUTOやワンピースなど日本系のキャラクターのコスプレばかりだった。
それ以外にも「日本人コスプレ」というべきか、どこで入手したのだろうか、制服や浴衣を着た人が実に多かった。ただ、立ち止まって撮影に応じる人は上海より少なかった。
最新コンテンツが早くも伝播
日本の首都圏や京阪神では地方都市に比べればさまざまなイベントが頻繁に行なわれ、人々の趣味も多様で、その趣味を実現する遊び場も仲間もいる。
中国についても同じことがいえる。つまり昆明は上海に比べて、ひとつイベントがあれば、一見さんなどかなりライトなファンが中心にやってきて、全体的にイベントは薄味になると思っていた。
ところが意外や意外、しっかり準備をしてくるコスプレイヤーが多く、濃かったのである。数年前に同じ地で動漫節を見たときは、ものすごくグダグダとしていた。回数を重ね、イベント参加者は楽しむ方法を分かってきているようだ。
会場の多くのスペースがグッズ販売会場になっており、会場の中心にはコスプレイヤーが登場するステージがあった。ほかにもメイド喫茶やカードゲームの遊戯王のプレイスペースが設けられており、多くの店舗が集うグッズ販売スペースはこうしたイベントでしかお目見えすることはなく、特に混雑を極めた。

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