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コンテンツ、アプリ等にいまお金を使っているのは誰だ?

ある分野に金と時間をつぎ込む人は、別分野でもつかう

2012年08月01日 09時00分更新

文● アスキー総合研究所

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“またがり消費”でも
1カテゴリーあたりの消費額は変わらない!

 コンテンツのファン層の分析や、ケーススタディを通じたコンテンツのヒット要因の分析などを行っている株式会社博報堂 研究開発局の木下陽介氏と佐藤誠一氏は、「コンテンツファン消費行動調査」の調査結果を説明した。博報堂は7月に、企業のニーズが近年高まっているコンテンツを起点とした広告やビジネス設計について、支援を行うための専門チーム「コンテンツビジネスラボ」を立ち上げている。

 アスキー総合研究所の分析は、ネット経由での購入について、ひとつのユーザー層を浮き彫りにしたものだった(ここではその一部を紹介)。それに対して、博報堂の同調査ではネットに限らず、あらゆるコンテンツの消費者を

1. 「興味層」 そのカテゴリに興味・関心がある
2. 「利用層」 過去1年以内に、そのカテゴリの商品やサービスを利用
3. 「支出層」 過去1年以内に、商品やサービスに実際にお金を使った
4. 「ファン層」 特定作品のファン

の、4つに分類。バラエティ・ドラマや映画、小説、スポーツ等、11のカテゴリーに分けたコンテンツのそれぞれについて、この4分類がどれくらいのボリュームがあるのかを説明した。

コンテンツ消費者の定義

コンテンツ消費者を、興味・関心を持つ興味層から、支出もしていて明確にファンだと認識しているファン層まで、4段階に分類。

興味層のボリューム

そのうちの興味層について、コンテンツごとのボリュームを見ると、最多は映画で5,840万人。音楽、レジャー・遊戯施設、ドラマ・バラエティと続く。

 まず「興味層」の場合、最も多いのは映画で約5,840万人。2位が音楽の5,380万人で、以下レジャー・遊戯施設、ドラマ・バラエティと続く。これが「利用層」になると、映画の4,770万人、音楽の4,270万人は順位が変わらないが、レジャー・遊戯施設は3,570万人とぐっと下がってドラマ・バラエティよりも下になる。一方で「支出層」では、映画・音楽の1位・2位はそのままだが、レジャー・遊戯施設は2,930万人で3位に浮上し、ドラマ・バラエティは10位にまで落ちる。

 「利用層」と「支出層」の比較では、映画や音楽などでは、利用者中の8割以上がなんらかの支出をしているのに対して、ドラマ・バラエティやスポーツでは、その比率は4割以下だ。また、「ファン層」の分布では、音楽が3,450万人でトップ。次いで2,840万人の映画、2,770万人のドラマ・バラエティという順になる。つまり、「ファンになってくれればお金を払ってもらえるという議論は、必ずしもそうではない」(博報堂 佐藤氏)という。

ファン層のボリューム

ファン層のボリュームでは、音楽がトップとなり、次いで映画、ドラマ・バラエティという順になる。

利用層と支出層の比較

利用層と支出層の比較では、ドラマ・バラエティやスポーツで支出層の落ち込みが目立つ。つまり、無料で利用してはいるが、支出はしていない比率が高い

 コンテンツへの総支出額をヒストグラムにしてみると、全体の4分の1くらいはまったくお金を使っていない。そして、支出額の平均値は年間約7万9,000円だが、中央値が年間約3万8,850円であることからもわかるように、あまり支払っていない人たちの層も分厚い。平均値を引き上げているのは、全体の2割程度を占める、年間にかなりの額を支払う人たちだ。

コンテンツ総支出額のヒストグラム

年間の総支出額で支出層を分類してみると、上位22%の人が市場の50%を担う、ロングテール的な構造になっていることがわかる。

 性年代別で見ると男性30代が最も支出額が大きく、次いで男性20代、女性20代となる。ジャンルとしてはゲーム、そして音楽とマンガだ。これがライフステージ別となると、既婚で子どもがある層ではレジャーがトップとなる。

性年代別の支出額

性年代別に見ると、支出額が最も多いのは男性30代で、次いで20代男性。どちらもゲーム、音楽、マンガが中心となる。

ライフステージ別の支出額

ライフステージ別では、既婚になり、また子どもができると、レジャー関連の支出が顕著に大きくなっていくのがわかる。

 そういった、コンテンツにお金を支出する人たちは、1つのカテゴリーに深く狭くお金と時間を使っているのではなく、複数のカテゴリーに幅広くお金と時間を使う「またがり消費」(博報堂 木下氏)の傾向が強いという。平均して5.4のカテゴリーのコンテンツに興味を持ち、3.6のカテゴリーに支出していて、とくに20~30代男性がまたがり消費になっている。

 面白いのは、支出するカテゴリーが増えても、各カテゴリーへの支出額は実は減らないことだ。普通に考えれば、映画にも音楽にもアニメにもゲームにもと、多数のカテゴリーにお金を使っていれば、少ないカテゴリーにしか支出していない人に比べて、1つ1つのカテゴリーへの支出額は小さくなるように思える。

またがり消費の支出額

複数のカテゴリーにまたがって消費する「またがり消費」の場合でも、1つのカテゴリーあたりの支出額は平均1万5,000円で推移している。10個以上のカテゴリーにまたがる層は、さらに支出額は増える。

 だが、同調査によると、支出しているカテゴリー数の多寡に関わらず、1つのカテゴリーへの支出は平均1万5,000円で変わらない。多くのカテゴリーに支出している人は、少ないカテゴリーにしか支出してない人に比べて総支出額が増えるわけで、そもそも収入が多いか、あるいはコンテンツ以外の支出を削っていることになる(10個以上のカテゴリーに支出している人は、さらに支出額が多くなっている点も興味深いが)。

 昨年から今年にかけて、アニメ・特撮カテゴリー等ごく一部を除いて、コンテンツ支出層の人数や総支出額は減少している。今回、博報堂研究開発局は「コンテンツファン発火モデル」を紹介した。またがり消費の実情を踏まえ、無料で楽しめるコンテンツへの入り口の整備、「体験型コンテンツ消費」(イベントやロケ地の旅行、ライブ、即売会といったコンテンツに関連する体験によって、支出層の支出額は平均で2倍以上、最大で5.4倍にも伸びる)などによるファンの“発火”、そして複数のジャンルにまたがる出口を用意することで、ファンの消費をもっと活性化させることが可能となるだろう。

コンテンツファン発火モデル

博報堂 研究開発局が提唱する「コンテンツファン発火モデル」。どのメディアで無料体験を提供し、どの場で盛り上がるきっかけをつくり、どう広めていくのか、そういったコンテンツ全体の設計を考える際のモデルだ。


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