いま、コンテンツやスマートフォンのアプリにお金を支払っているのは、どういった人たちなのか?
コンテンツビジネスやアプリ開発を手がける人たちにとって大変気になるこの疑問について、7月13日に一般社団法人メディア事業開発会議(MEDIVERSE)が開催したワークショップ「消費者はどこにお金を使っているのか」で、博報堂の研究開発局とアスキー総合研究所がそれぞれの分析結果を披露した。
注目すべきは
“コネクテッド”な20代女性
最初に登壇したアスキー総合研究所の遠藤 諭所長が投げかけた疑問は、「消費者は見えているとおりではない。たとえば、一般に言われるように、iPhone利用者はAndroid利用者よりお金を使っているのか?」ということだった。
ワークショップで披露された、アスキー総合研究所の消費行動やメディア・コンテンツに関する1万人調査「MCS 2012」の集計結果によると、有料コンテンツやアプリの利用料金について、月額の平均利用金額は確かにiPhone利用者のほうが多くなっている(Android利用者の231円に対して、iPhone利用者は272円)。
ただし、その分布を見てみると、iPhone利用者の場合は200円未満の安いアプリを1本しか買っていないようなユーザーが多くを占めている。また、iPhone利用者の購入しているアプリのジャンルでは、ゲームが非常に多い。つまり、全体の平均利用金額は多いが、その大半はゲームを1本しか買わない層が占めていると言える。
Android利用者の場合は、そもそも有料コンテンツを購入している比率がiPhone利用者に比べて低いものの、一部にものすごくお金を使っている層がいる。平均額で見るとiPhone利用者のほうが多いが、その分布の内訳は一様ではないのだ。
両利用者の性年代分布を比較すると、Android利用者は20~30代男性が多いが、iPhone利用者は特に20代前半の女性に偏っている。Webを普通に、何のストレスもなく使っている「コネクテッド・コンシューマ」と呼ばれる人たちが、注目され始めている。米国では40代女性という話もあるが、アスキー総研の分析では、コネクテッドかつお金を使っているのは、国内では20代女性だ。
仮に、スマホでアプリ・有料コンテンツを買っている20代女性をコネクテッドな20代女性として切ってみると、彼女らはネット動画の視聴時間が長く、それに対して地上波テレビの視聴時間は短くなっている。20代女性はそもそも、20代男性ほどではないにせよ、ネット動画の視聴時間が長く、テレビの視聴時間は短い。コネクテッドな20代女性では、その傾向はさらに強まる。
SNSの利用率は、20代女性ではmixiが最も高く、コネクテッド20代女性も同様だが、それに匹敵するくらいTwitterの利用率も高い。また、各種ゲーム機の所有率も高く、とくに『モンスターハンター ポータブル 3rd』(PSP)の所有率は、コネクテッドではない20代女性の6倍以上になっている。
こう聞くと「オタクなのではないか?」と思われるかもしれないが、彼氏のいる率が29.1%と高いなど、“リア充”的な部分も強い(彼氏がいればオタクではないというのはやや短絡的ではあるが)。映画館で映画を観る回数や、楽曲をダウンロード購入する比率も高く、ネット上でアプリやコンテンツを提供している側にとって、極めて重要な層であることは間違いない。