Ivy Bridge搭載モデルが各メーカーから発表され、ますます盛り上がるUltrabook。そろそろ「知らない」ではすまされない! そんなわけでこの連載では最初の数回はUltrabookの基礎知識を紹介し、その後、使う上で役立つTIPSやベンチマークなどをお届けしていく。
今一番ホットなキーワード
“Ultrabook”とは何か?
ここ最近、パソコン関連の記事や広告で“Ultrabook”というキーワードをよく見かける。インテル社のテレビCMも流れているので、パソコンに興味はないが知っているという人も多いだろう。Ultrabookを簡単に言うと、一定条件を満たした薄型軽量ノートパソコンのカテゴリーのこと。これまでもモバイルノートのようにノートパソコンの中の1ジャンルを示す単語はあったが、明確な基準がなく製品による性能差が大きかった。
Ultrabookはスペックの下限などが定義されているため、Ultrabookの名を冠している製品であれば一定水準以上の本体スペックとモバイル性能が保証される。そのため、ユーザーはパソコンに詳しくなくても製品を選びやすくなり、安心して購入できるというわけだ。
Ultrabookの定義はこれだ!
Ultrabookノートパソコンを銘打つには、あらかじめ定義されたスペックを満たしている必要がある。このスペックは……
- CPUに第2世代以降のIntel Coreシリーズプロセッサを搭載
- バッテリー駆動時間5時間以上
- 本体の高さは21mm以下(液晶が14型未満の場合は18mm以下)
- 休止状態から7秒以内の復帰
- Wi-Fi通信機能必須
となっている。Intel Coreシリーズが必須なことから、処理速度はWindows 7の動作に必要十分なレベルが確保されるほか、休止状態から7秒以内の復帰が必須のために、ストレージはほとんどの製品がSSDを採用している。そのため、動作速度に関しては小型ノートとしては申し分のないものが保証されている。ノートパソコンの使用目的がウェブブラウジング、動画再生、一般的なオフィスアプリといった軽めのものがメインであれば、動作速度に関する心配はまったくなしと言えるだろう。
また、本体のサイズやバッテリー駆動時間が定義に含まれていることから、モバイル利用が重要視されていることがわかる。持ち運べるノートパソコンが欲しい人は、Ultrabookの中から製品を選ぶのが賢明だ。
なお、Ultrabookに似たようなキーワードとして、一昔前に“ネットブック”が流行したが、ネットブックは「比較的安価で小型軽量なインターネット特化ノート」だったため、スペックに関して明確な定義がなかった。そのため、中にはスペックが快適と言うにはほど遠い製品もあり、利用用途のミスマッチから買ったあとに後悔したという意見も少なくなかった。そんなネットブックユーザーの不満をフィードバックし、Ultrabookではどんな製品でも快適動作が行なえるスペックが確保されている。
Ultrabookはモバイルノートや省スペースノートを求めるユーザーには、とても魅力にあふれたものとなっている。ある程度だが基本スペックが決まっているため、パソコンにあまり詳しくない人にとっても心強い。
あの「Centrino」の成功再び?
ちなみに、Ultrabookを提唱したのはパソコンのCPUなどを手がけるインテル社だが、9年ほど前にもインテル製のCPU、チップセット、無線LANモジュールで構成されたモバイルノート“Centrino”ブランドで同じような戦略を展開し、ブランド浸透を成功させたことがある。
“セントリノ、セントリノ、セントリーノー……”と、Centrinoを連呼するテレビCMを覚えている人も多いのではないだろうか? あのときは「セン“トリ”ノ」に引っかけて「鳥」がイメージキャラクターだったが、今回のUltrabookでは「ウル“トラ”ブック」で「虎」がイメージキャラクターになっている。
新旧ともにブランド名連呼、キャラクターが謎のダンスを踊るなど、内容がほとんど同じというのも面白い。古いテレビCMだがYouTubeで検索するとヒットするので、見比べてみるのも一興だ(関連記事)。