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山谷剛史の「アジアIT小話」 第21回

PS Vitaとニンテンドー3DS、中国では熱い戦いが!?

2012年05月15日 12時00分更新

文● 山谷剛史

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話題にはなっているが
いまだ街中では見かけないPS Vita

 統計ではなくリアルな感触でいうと、そこそこのお金持ちの中には世界の注目製品ということで、「Wii Sports」や「Wii Fit」ほしさにWiiを買う人はいた。中国ではWii発売から数年経ってもゲーム屋でいまだにWii Sportsを展示している店はある。

 ニンテンドーDS(ないしは正規の中国版であるiQueDS)は2~3年前までは小学生がよくマンションの敷地などで遊んでいるのをみた。スマートフォンに変わったかというと、スマートフォンを所有する小学生が激増しているわけでもない。小学生向けオンラインゲームが登場しているので、それを遊ぶようになったのかもしれない。

ファミコン互換機は1コイン(500円)で買える

ファミコン互換機は1コイン(500円)で買える

PSPっぽいハードも売っているゲームショップ

PSPっぽいハードも売っているゲームショップ

PSPっぽいニセモノも売られている

PSPっぽいニセモノも売られている

 中関村在線の調査結果にないところでは、ファミコンの互換機については今も農村部の青空市場などで売られているのを見かけるほか、「中国独自開発」をうたいながらエミュレーターを内蔵し、過去の家庭用ゲームが遊べる「人のフンドシで相撲をとる」ポータブルゲーム機がオンラインショップを中心に発売されている。が、遊ばれているのは見たことがない(売られているということはニーズがあるのだろうが……)。

 さて、最近発売された「PS Vita」はどうか。こちらもほかのゲーム機同様、中国国外での発売日前から予約販売が行なわれ、中国国外での発売日と同時にモノが中国に流れた。

 新ハード発売直後は中国における販売価格が非常に高いことから、ショップにとっては利益率が高い人気のハードだ。日本では3Gモデルが2万9800円、Wi-Fiモデルが2万4980円だった初物価格が、中国においては3Gモデルが3500元(約4万5000円)、Wi-Fi版が3300元(約4万3000円)程度とかなりの値段。

 しかし、今は潤沢に中国でも商品が揃ったのか、日本や香港の売価にプラス3000円程度の運び賃だけで購入できる。

 発売されればユーザーを見つけたいところだが、日本同様、発売したからといってそんなに多くの人が所有しているわけでない。筆者自身、中国において地下鉄車内やファストフード店でユーザーを探しているものの、いまだ見つけていない。

百度における3DSは検索数はPS Vitaの半分程度だ

百度における3DSは検索数はPS Vitaの半分程度だ

百度におけるPSPの検索数は3万程度。下がりつつあるがPS Vitaを凌駕する

百度におけるPSPの検索数は3万程度。下がりつつあるがPS Vitaを凌駕する

百度におけるPS Vitaの検索数はPSPの3分の1程度だ

百度におけるPS Vitaの検索数はPSPの3分の1程度だ

 「微博」と呼ばれるTwitter似のミニブログや通常のブログ記事を見ると、PS Vitaやニンテンドー3DSなどについてつぶやく人は多く、その数はPS Vitaユーザーのほうが多い。一方で、注目のゲームソフトは3DSがより多い。3DSではマリオはもちろんだが、それ以上にモンスターハンター、バイオハザード、メタルギアソリッドの最新作に注目が集まっている。PS Vitaで注目されているのは真・三国無双の最新作くらいだ。

 中国人がゲームの新ハードを購入しようとするタイミングは2つある。ひとつは新ハード発売直後で話題となっているとき。もうひとつは海賊版が利用できる改造ハードが流通し始めたタイミングだ。

 海賊版は問答無用でNGだが、そのNGによって日本や香港から中国への輸入量が変わってきて、中国国内ゲーム機のシェアが動くのだ。3DSかPSVitaか、中国未発売の人気ゲーム機のシェア争いは今後もどうなるかはわからない。


山谷剛史(やまやたけし)

著者近影

著者近影

フリーランスライター。中国などアジア地域を中心とした海外IT事情に強い。統計に頼らず現地人の目線で取材する手法で,一般ユーザーにもわかりやすいルポが好評。当サイト内で、ブログ「中国リアルIT事情」も絶賛更新中。最新著作は「新しい中国人~ネットで団結する若者たち」(ソフトバンク新書)

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