ゲームへの関心は高いがハードがなかなか普及しない中国
中国のゲーム機市場は「正規流通品が買われていない」または「正規品がそもそも売られていない」ないしは「ニセモノが売られている」など、カオスな市場と化している。コンテンツが原因でネットが規制されるのと同様、ゲーム機販売も制限されている。世界全体でみればこのような国はレアだ。
一方で、中国での家庭用ゲーム機への興味は高い部類に入るだろう。ゲームショップは上海や北京はもちろん、チベット自治区のラサにまである。家庭用ゲーム機専門雑誌は「遊戯機実用技術」「電子遊戯軟件」「掌机王SP」なる老舗雑誌をはじめ、何冊も発刊されているほか、ゲーム情報発信で有名なサイトも多数ある。
新ハードが発表されれば、中国でも話題になってオンラインショップやゲーム専門店では発売日以前から本体とソフトの予約販売が行なわれる。ハード発売日に日本の家電量販店に並ぶ中国の転売業者はもはやおなじみとなっているかもしれない。
つまり、ゲーム雑誌もゲーム情報サイトも海賊版配信サイトも、リアル/ネット問わず直輸入のゲームショップもあるが、ゲーム機販売にはルールがあり販売が難しいというおかしな状況がずっと続いている。
スマートフォンが台頭する以前は、特に上海・北京・広州・深センの地下鉄車内でプレイステーション・ポータブル(PSP)を持つユーザーをよく見た。内陸の地方都市でもたまにだがPSPユーザーを見かける。
PSPは沿岸・内陸問わずゲームショップで人気の商品。やや極端な例を出せば、上海とある人気ゲームショップではPSP本体が1日に15台売れたという。すると単純計算で1つの人気店舗で年間5000台のPSPを販売したことになる。
「いったい中国でどれだけのPSPが売れたのか」――中国でも気にする人は少なくない。公式の発表や調査会社の発表はないが、ある人は「数百万台ではないか」、ある人は「いや1000万台超えているのでは?」と語っている。数字は定かではないが、それほどまでにゲーム機やゲームファンは普通にいる。
中国のIT系ポータルサイト「中関村在線」が行なった最新のゲームについての調査によれば、中国の携帯電話・スマートフォンを除いたゲームの注目度では、「スタンドアロンのPCゲーム(55.3%)」「家庭用ゲーム機(25.4%)」「オンラインゲーム(19.3%)」となっている。
つまり、注目されるゲームの4分の1しか家庭用ゲーム機のゲームではないわけだ。そして家庭用ゲーム機(25.4%)をさらに細分化すれば「PSP(8.9%)」「PS2(7.3%)」「PS3(2.3%)」「Wii(1.9%)」「ニンテンドーDS(1.8%)」「Xbox 360(1.3%)」「Xbox(0.2%)」などとなっている。
IT系ポータルサイトでの注目度は、ヘビーユーザーの注目度といってもいい。PSP以外も考えてみると、確かにヘビーゲーマーはPS2を持ち、海賊版を利用して遊んでいるようだ。

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