テレビなどで、超スローモーションや超早送りの映像を見たことがあるだろう。風船が割れたり水滴が落ちるシーンをゆっくりと再生したり、数時間~数日にわたる変化を高速再生する映像は新鮮だ。テレビなどではもちろん業務用の高性能カメラを使っているのだが、手頃な価格のデジカメやビデオカメラでもこれらの機能を搭載している製品は多い。今回は手軽に高速度撮影や微速度撮影を楽しむ技を紹介しよう。
高速度撮影を楽しむ
高速度(ハイスピード)撮影とは、高いフレームレートで動画を撮影すること。通常のビデオカメラでは1秒間に30コマ=30fpsで撮影している。この動画を10分の1のスロー再生した場合、紙芝居のようにカクカクとした映像になる。しかし、300fpsの高速度で撮影した映像なら、30fpsとなり滑らかなスロー再生が可能になる。
コンデジの性能向上はとどまるところを知らず、フルHDの動画撮影はもちろん、高速度撮影ができる機種も多い。2012年2月に発売されたばかりの「FinePix F770EXR」(富士フイルム)も高速度撮影機能を備えている。最速320fpsの撮影が可能だ。つまり、約10分の1の滑らかなスロー再生が可能と言うこと。
ただし、大きな制限が2つある。まず、音声が記録されないと言う点。次に解像度が低くなるということだ。音声はしょうがない。どうしても必要なら、ICレコーダーやPCMレコーダー(合コンからいびき対策まで ICレコーダーを活用する技参照)を利用して音声を録っておき、動画編集ソフトで付けることになる。
「FinePix F770EXR」は、30fpsなら美しいフルHD(1920×1080ドット)の動画を撮影できるのだが、高速度撮影では80fpsで640×480ドットと約7分の1になってしまう。さらに、160fpsでは320×240ドット、320fpsでは320×112ドットと小さい上に極端に横長の映像になる。これはコンシューマー向けのカメラでは仕方のない点なので、画質に過度な期待は持たない方がいい。ただし、高速度で撮影した映像は、普段見慣れないもので楽しめることはうけあいだ。
カメラの設定画面から、動画の撮影モードを「HS」(ハイスピード)にする。あとは、動画撮影ボタンを押して撮影を開始するだけ。早速、カメラのプレビューでチェック。320fpsの映像の場合は、上下に黒い帯が入る。高速度撮影時には暗くなりがちなので、できるだけ明るい場所を選びたい。また、画面にちらつきが入ることがある。これは、蛍光灯が原因。肉眼では普通に光って見える蛍光灯だが、実は1秒間に100回点滅しているのだ。これが、高速度撮影だとはっきり写ってしまい、見にくくなる。ちらつきをなくしたいなら、光源を白熱灯に変えるか、太陽光の下で撮影しよう。
80fpsで撮影した映像
160fpsで撮影した映像
320fpsで撮影した映像
320fpsだと、例えばシャボン玉がはじけるような瞬間をゆっくり見ることはできない。水のしたたりもギリギリで、感動するような時間の引き延ばしは感じない。お勧めは、スポーツだ。バッティングやピッチング、ゴルフのスイングなどを撮ると迫力のある映像になる。フォームのチェックにも最適だ。ジャグリングやカクテルのシェイクも面白い被写体だろう。撮られている人には高速度撮影中ということはわからない。普通に撮影していると思わせて、クラッカーなどを鳴らして驚かせると、滅多に見られない表情になって楽しいかも。
撮影した動画は、PCに移して動画編集したり、YouTubeにアップロードしたりして活用しよう。それが面倒なら、カメラとテレビをHDMIケーブルでつないで直接再生することもできる。
とにかく動画は撮りためておくべし。今は特に動画編集にこっていないとしても、将来のため。PCの性能やソフトの機能は進化し続けていくので、いつかは動画編集デビューしたくなるはず。そのとき、動画素材があるのとないのでは楽しさが全然違う。高速度撮影したレアな映像があればなおさらだ。
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