小さくて、薄くて、軽くて、強い
モバイル用途に特化した製品だけあって、小さくて、薄くて、軽くて、強い製品となっている。キーボード本体のサイズは242×120×12mm。iPadの横幅とほぼ同じ、奥行きは3分の2程度といったところ。iPadが収納できるバッグなら一緒に持ち運びできるというのがポイントになる。
薄さは初代のiPadとほぼ同じ。iPad2やなんとお呼びすれば良いのか分からない新型iPadよりはやや厚い。といっても、これはゴム足も含めた最厚部のサイズ。電源などの物理的なスイッチのせいで要している厚みなので、実際に手にとってみると、もう少し薄く感じるはずだ。
重量は181g。プラスチック製なので高級キーボードの風情はないが、質感や強度はPC用の省スペースキーボードと言われても違和感ないレベルに作られている。
キーボードの打鍵感もPCのキーボードと遜色ない。各々のキートップが独立したタイプのキーボードで、ZAGGでは”アイランドスタイル・キー”と呼んでいるが、日本ではアイソレーションタイプなどと表現したほうが通りがいいかも知れない。
中心部分のキーピッチは実測で17~18mm程度、キーストロークは2mm程度といったところ。さすがに隅っこのほうには極小のキーが混ざってしまっているが、本体サイズからすれば致し方ない部分だろう。
キーはパンタグラフを用いたタイプで、オンとオフにははっきりしたフィードバックがある。打鍵しているとノートPCのキーボードそのままの感覚だ。
本体内にはバッテリーを内蔵しているが、駆動時間の心配はあまりいらない。公称駆動時間は250時間となっており一日24時間使い続けても10日以上持つ計算。通常は2~3週間に一度充電すればよいとされており、むしろ間隔が開きすぎて充電が必要なのを忘れてしまうことを心配したほうがいいかも知れないほど。
モバイルデバイス用キーボードもいろいろと製品が増えているが、本製品からは、携行性を持たせつつ本格的なキーボードを目指した一つの結果が本製品という印象を受けている。
モバイルデバイス向け製品らしい工夫も
本製品のキーボード配列は英語キーボードをベースに、モバイル向けにアレンジを加えたものとなっている。正直なところ僕自身は日本語109キー派なので、英語キーボードにはちょっと違和感を覚えるのだが、それでもタッチパネルで入力するよりは圧倒的に高速に入力できる。
モバイル用キーボードらしいのは、最上段と最下段だ。最上段には[ホーム」キーやカット/コピー&ペーストキー、メディアコントロール、ボリュームコントロールといったキーを備える。iOSデバイスでのみ利用可能のスライドショーキーといったものもある。
最下段はAndroidデバイス用のメニューキーやバックキー。入力文字種切り替えキーを持つ。これは、可能な限りキーボードから手を離さずにスマートフォンやタブレットを操作できるように考えて備わっているもの。PCであっても文字入力に集中しているときはすぐ脇のマウスに手を伸ばすのが億劫になったりするわけで、タッチパネルに手を伸ばして長押しなんて必要になったら完全に集中力が切れてしまう。こうした事態を少しでも減らせるのはありがたい。
ちなみに、これらのキーは使用するデバイスによってキーボードのスイッチを切り替える必要がある。具体的にはiOSデバイスで利用するか、Androidデバイスで利用するかを切り替えるものとなるが、各デバイスに最適化された動作を行なうためのものとなっている。ただ、星の数ほどに増えてきたAndroidデバイスに関しては、すべての機種ですべてのキーが利用できるとは限らないので注意が必要だ。動作検証が行なわれているモデルについてはZAGG社のWebサイトに情報が掲載されているので参照されたい。
このほか、キーボードを携行するさいに本体を保護するカバーは、タブレット&スマートフォンスタンドとして機能するようにできていて、スタンドの形が崩れないように磁石が埋め込まれるなどの工夫が凝らしてある。
スマートフォンを立てかける場合は、いかにも大は小を兼ねる的なゆとりスペースが生まれまくってしまうが、先にも説明したとおり本体サイズはiPadとほぼ同じサイズなので、iPadを立てかけるとほぼピッタリ収まるスタンドになっている。
このスタンドのおかげで、電車や狭いスペースでコンテンツを見たりするときはタブレットやスマートフォンのメリットが活かせ、カフェなどで腰を据えるときはキーボードを広げるノートPCのように作業を行うというスタイルを一台のモバイルデバイスで両立できるようになるのだ。
コンテンツを利用(見る、聞く)するならタブレットやスマートフォン、コンテンツを作成するならノートPCという棲み分けが明確になりつつあるが、本製品のような本格志向なアクセサリが浸透すると、コンテンツ作成の一部もタブレット・スマートフォンの領域に含まれてくるかも知れない。モバイルデバイスと人との関わり方はまだまだ変わっていくのだろう。
ZAGGkeys Flex
実売価格:9980円前後
製品情報:http://www.ask-corp.jp/products/zagg/accessories/zaggkeys-flex.html
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