最新スマホが次々登場 Mobile World Congress 2012レポート 第16回
クアッドコアスマホの一番乗り? Tegra 3搭載製品を俯瞰した
2012年03月02日 12時00分更新
スマートフォンやタブレット向けのプロセッサーは、携帯電話時代からの慣習として「アプリケーションプロセッサー」と呼ばれている。これは通信を担当する「ベースパンドプロセッサー」と区別するためでもあった。
アプリケーションプロセッサーは、いわゆるパソコンでいうメインCPUに相当するもの。ただし、多くのプロセッサーは、ARM社のアーキテクチャを採用している。
NVIDIAはアプリケーションプロセッサーとしてクアッドコアのTegra3をいち早く発表。すでにASUS「Eee Pad TF201」(関連記事)などのタブレットに採用されている。今回のMWC2012ではTegra 3を搭載したスマートフォンがいくつか発表された。
CESから1ヵ月
スペックが明らかになったモデルも!
このTegra 3にはタブレット用とスマートフォン用で別の製品(SKU)が用意されている。スマートフォン用は、クロック周波数が抑えられているものの、その分、消費電力や発熱が押さえられている。
NVIDIAブースには、国内でもすでに発売されている前述のASUS製タブレット以外にも、いくつかタブレットの展示があった。1つは東芝の7.7型タブレット。これは、今年1月のCESで公開されたが、その時点ではスペックは未公開だった。もう1つは、ZTEの「T98」というタブレットだ。どちらもクアッドコアのTegra3を搭載している。また富士通はTegra 3搭載のタブレットをEU圏で発売するという。ブランドは、これまでビジネス向けタブレットに使ってきた「Stylistics」だ。
スマートフォンでは、富士通やHTCが自社ブースで展示しており、NVIDIAブースにはLG社のOptimus 4X HDが展示されていた。
富士通のTegra 3搭載スマートフォンは、やはりCESで公開されたものだが、今回は動作している本体を自由に触ることができた(関連記事)。本体背面に指紋リーダーが搭載されており、そのクリックでスリープから復帰、指紋の読み込みでロック解除が行えるという。日本でも夏モデルとしてリリースされるとのことだ。
HTCは「HTC One」という3モデルを発表、そのうち最上位の「HTC One X」という機種にはTegra 3を採用する。
スマホにクアッドコアは本当に必要なのか?
通常の利用でも負荷が大きな状況は存在する
スマートフォン版Tegra 3だが、搭載製品は早くて4月、その後夏ぐらいまでに出揃う予定だという。そもそもスマートフォンにクアッドコアが必要なのかという議論もあるようだが、Tegra 3の場合は、負荷が高い状況で用いるメインの4コアに加えて、プラス1で低負荷時に低消費電力コアを用意する「Variable SMP」という仕組みを採用するため消費電力がこれまでのデュアルコアプロセッサよりも大きいということはないようだ。実際に端末開発メーカーによると、アイドル状態や低負荷時には、従来のデュアルコアを下回る消費電力にになることもあるという。
また、クアッドコアによる性能は、無線LANなどからのTCP/IPの受信処理やその後の処理、その最中にもGUIの反応を落とさないといった点で有効だという。逆に、現在のデュアルコアでは、処理のタイミングによっては、負荷が重すぎるという場面もあるようだ。
そのほかNVIDIAブースでは、Icera社のLTEモデムを採用したタブレットなども展示されていた。Icreaは携帯電話用ベースバンドチップのメーカーだが、昨年NVIDIAに買収された。アプリケーションプロセッサーの世界に留まらずに、より広いジャンルをカバーしようとするNVIDIAの態度の表われと言える。そのほか、MWC期間中に発表されたセガなどのゲームメーカーとの提携を示すデモも行われていた。

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