3月1日まで開催された「Mobile World Congress 2011」で目立ったのが中国ベンダーの躍進だ。その1社であるHuawei TechnologiesはZTEとともに急速にシェアを伸ばしているが、これまではミッドレンジ、ローエンドが中心だった。しかし、2012年は「Ascend」ラインでハイエンドブランドを目指すという。ファーウェイ・ジャパンで端末本部商品企画部長を務める伊藤正史氏に話を聞いた。
ファーウェイのAndroidスマホでの世界シェアは4位
今後トップ3入りを目指す
――携帯電話のシェアが急速に拡大しています。現在の市場シェアは?
Androidスマートフォンカテゴリーでは世界4位。Samsung、HTC、LGの次です。このエリアではZTEよりも順位が上です。2011年のスマートフォンの出荷台数は2000万台、これまで右肩上がりで成長を続けており、今年は2011年の3倍ぐらいを狙っています。会社全体では2015年までにトップ3入りを目指しています。
――現在、スマートフォンのカテゴリーはどこが中心になりますか?
ミッドレンジ、ローエンドが中心で、地理的には中国のほか、アメリカや欧州でもローエンドを中心に展開しています。
今後はハイエンドやフラッグシップに拡大を図ります。1月のCESで発表した「Ascend P1」「Ascend P1 S」、MWCで発表した「Ascend D Quad」はその戦略に基づくもので、今後「Ascend」ブランドを拡充していきます。Ascendはハイエンドの「D(Diamond)」、Dより下位だが優れた特徴を備える「P(Platinum)」、ミッドレンジの「G(Gold)」、そしてエントリ向け「Y(Youth)」と4種類で展開します。ハイエンドを強化していくという意味を込めて、上昇を意味する「Ascend」というブランド名を付けました。
「世界最○」で先行メーカーを追撃
――ハイエンドではSamsung、HTC、Nokiaなどの企業と戦うことになります。パイそのものも広がっていますが、他社からシェアをとる必要もあります。グローバルでの戦略は?
日本でもそうですが、グローバルでHuaweiブランドはそれほど確立されていません。ブランド確立のために、今後「世界最○」というわかりやすいメッセージを出していきます。たとえばAscend D Quadは世界最速、Ascend P1は世界最薄を表に出しています。
戦略は、すべてのエリアでナンバー1になることです。ただしスペックだけではなく、使いやすさも強化していきます。この部分は、今後スマートフォンが普及していくにつれて重要になると考えています。
そこで、中国ではクラウドサービス「Cloud Plus Service」を開始しました。中国外については、具体的なことはいえませんがグローバル展開を視野に入れており、日本もその中に入っています。
――サービスを差別化のポイントにするということでしょうか?
クラウドでストレージサービスを提供するというのは、どこもやっていることですが、いかに簡単に、ワンタッチで使えるようにするのかの仕掛けを考えています。広めるためには、技術に通じていない人でも使えるようにすることが大切です。

この連載の記事
- 第22回 Mozillaがスマホ用OS「B2G」に乗り出す理由を聞いた
- 第19回 Ericsson CTO「スマホ時代、高性能なネットワークが重要」
- 第18回 Nokiaに聞くWPとエコシステム戦略、そして4100万画素カメラ
- 第17回 ノキアブースでWP7端末や4100万画素スマホに触ってきた
- 第16回 クアッドコアスマホの一番乗り? Tegra 3搭載製品を俯瞰した
- 第15回 ファーウェイブースにはクアッドコア搭載タブレットもあった!
- 第14回 MWCで影が薄いインテル スマホCPUの競争はどうなる?
- 第13回 LGブースの目玉は5型スマホ 4コアのハイエンド端末も
- 第13回 パナも5型スマホをリリース 「ELUGA」で本気の海外展開
- 第12回 これはビックリ! HTCとKDDIが日本に特化した端末を開発
- この連載の一覧へ