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SteelheadアプライアンスはEXとCXの2ラインナップに

拠点にストレージをキャッシュするリバーベッド「Granite」

2012年02月24日 09時00分更新

文● 渡邊利和

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2月23日、リバーベッドテクノロジー(以下、リバーベッド)はキャッシュを活用することでサーバーのストレージをWAN経由のデータセンターに移動することを実現する「Riverbed Granite」を発表した。あわせてWAN高速化製品である「Steelhead」には、Graniteをはじめとする各種の仮想サービスのプラットフォームとなる「Steelhead EXシリーズ」を追加することも発表した。

ブランチに残るサーバーがターゲット

 リバーベッドテクノロジーでは、新製品であるGraniteの背景となるアーキテクチャアプローチとして「エッジ仮想サーバーインフラストラクチャ(edge-VSI)」という考え方を掲げている。このコンセプトは、「仮想デスクトップインフラストラクチャ(VDI)がデスクトップに対して行なうことを、エッジサーバーに対して実行」するものだと説明されている。

エッジ仮想サーバーインフラストラクチャ(edge-VSI)

 これだけでは具体的なイメージがつかみにくいが、製品としてのGraniteは、エッジサーバの仮想化というよりは、むしろデータセンターに設置されたストレージをローカルのアプライアンスでキャッシュすることで間をつなぐWANの遅さを隠ぺいするソリューションと考える方がわかりやすいだろう。同社が以前から取り組むWAN高速化の延長上にある技術だともいえ、ローカル側のモジュールがWAN高速化製品であるSteelheadのオプションとして実装されている点からも、従来のWAN高速化に対する新たな付加価値提案だと理解して良さそうだ。

 Graniteの概要説明を行なった同社のマーケティング本部 マネージャーの伊藤 信氏は、WAN高速化製品を提供してきた企業としては少々皮肉なことだが、と前置きした上で、ブランチオフィスに点在するITリソースをデータセンターに100%統合することはできていないことを認め、WAN高速化だけでは不十分だとした。

同社のマーケティング本部 マネージャーの伊藤 信氏

 その理由は、書き込み負荷が重いアプリケーションなどでは従来のWAN高速化製品のパフォーマンスではユーザーを満足させられない場合があることや、WAN回線がダウンした時でも処理を継続する必要があるアプリケーションが存在することなどだ。しかし、だからといってブランチオフィスにサーバーとストレージを残したままでは、運用管理の負担を軽減することは難しく、中央のIT管理者のケアが行き届かなかったり、適切なバックアップを行なうことが難しくなったり、余分なコストがかかったりしてしまう。この問題の解決のために、GraniteではWAN高速化技術とキャッシュを組み合わせることでストレージアクセスを高速化し、まずはストレージだけをデータセンターに移動する、という提案を行なっている。

 Graniteは、データセンター側に設置される「Granite Core」と、ブランチに設置されたSteelheadアプライアンス上で稼働するソフトウェアモジュールである「Granite Edge」で構成され、対向通信を行なう。Steelheadに接続したSSDストレージをキャッシュとして利用し、データセンター側に設置されているストレージのデータをローカルで利用できるようにする。よく使われるデータをあらかじめキャッシュにコピーしておくことなどもできるため、最初のアクセスから高速化することも可能だ。一方、サーバー自体はローカルに置かれたままなので、画面の書き換えが大量に発生するアプリケーションや、マウス操作やキーボード入力の遅延を気にするユーザーにとっても作業性を低下させることなくアプリケーションが利用できる。

Graniteのコンポーネント

 サーバーとGranite Edgeの間、Granite Coreとストレージの間はそれぞれiSCSIで接続されるので、アクセスの高速化はブロック単位で実行される。この点も従来のSteelheadとは異なる点で、従来のSteelheadでは対応しきれなかった部分を補完する製品となっている。

SteelheadもCXとEXの2本立てに

 冒頭でビジネスの現状説明や経営戦略について説明した米リバーベッドテクノロジー アジアパシフィック&ジャパン セールス担当上級副社長のジョン・ヒグス氏は、同社自身を“IT Infrastructure Performance Company”だと位置づけた上で、「従来はユーザーとデータセンターの間を一対一で接続するだけのシンプルなモデルが通用したが、現在ではユーザー側もモバイルデバイスなどさまざまな要素が増え、一方でデータセンター側にもクラウド環境が使われるようになるなど、構成の複雑化が進行している」と指摘した。

米リバーベッドテクノロジー アジアパシフィック&ジャパン セールス担当上級副社長 ジョン・ヒグス氏

 同社のソリューションもSteelhead一本からさまざまな要件に対応する複数のソリューションへと拡大していくとした。具体的には、今回発表された「Granite」のほか、ネットワークパフォーマンス管理のための「Cascade」、アプリケーションデリバリコントローラー(Webロードバランサー)「Stingray」、クラウドストレージゲートウェイ「Whitewater」といった製品群が追加される。

IT環境の複雑化

拡充されるリバーベッドのソリューション群

 なお、Steelheadは、WAN最適化専用デバイスと位置づけられる「Steelhead CXシリーズ」と、Graniteのような仮想サービスを実行するためのプラットフォームとしてより高い処理能力を与えられた「Steelhead EXシリーズ」の2本建てになることも発表された。Steelhead CXシリーズ、同EXシリーズ、Graniteのいずれも現時点では価格は未定だが、今四半期中(3月末まで)に出荷開始される予定となっている。

Steelheadのラインナップ拡張

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