メールの送信ミスを極限まで減らす
筆者にとってShurikenでもっとも重宝しているのが、添付ファイルのチェック機能だ。昔、原稿を納品したつもりが、添付されておらず締切を突破してしまったことがあった。Shurikenは、「添付」や「送付」といったキーワードが入っているメールを送信する際、添付ファイルがないと警告メッセージを表示してくれる。この機能のおかげで、添付ミスをほとんどしなくなったのはうれしいところ。3000円程度のコストなど、考えるまでもないだろう。
添付や送付以外の単語で警告を出したいなら、Shuriken本体があるフォルダーに入っている「SENDNGWD.DAT」をテキストエディターで編集しよう。英語を使うなら「attached」を追加してもいい。
機種依存文字を送信する際にも警告してくれる。機種依存文字とは、1や2などの丸付き数字、キログラムなどの単位記号や数式記号のことで、PCやMac、ケータイ、スマホなど環境によって正確に表示できないことがあるのだ。前後の文脈などで、だいたい内容が通じるとはいえ、避けておいたほうがいい。筆者は無意識にこれらの文字を使わない癖が付いているが、機種依存文字がよくわからないなら活用したい。
「Shuriken 2012」の充実機能を活用する
キラーコンテンツというわけではないが、Shuriken 2012にはかゆいところに手が届く機能が充実している。まずは、印刷機能。会議に持参するためにメールを印刷するような時、見栄えがいいに越したことはない。Shuriken 2012は、行間や字間だけでなく、上下左右のマージンやヘッダーやフッターも印刷できる。自動折り返しや行番号の印刷ももちろん可能。新機能として、添付ファイルの情報や総ページ数を印刷する機能も搭載した。
「一太郎2012 承」に入っている音声読み上げソフト「詠太2」と連携して、メールを読み上げる機能を搭載しているのもポイント。試しに再生してみたが、驚くほど自然なイントネーションでかな漢字交じりの日本語を正確に読み上げてくれる。次々とメールを続けて読んでくれるのも手間がかからない。送信日時や見出し、URLなどの読み上げが不要なら、設定でオン・オフできるのも便利。ただ、知人からのメールだとどうしても意識が向かってしまうので、ラジオのように聞くというわけにはいかなかった。メルマガやメーリングリストのフォルダーなら、BGM代わりに流すのはありかもしれない。
以前から搭載している機能だが、「ひみつフォルダ」も便利だ。これは、指定したフォルダを非表示にしてパスワードで保護する機能。Shurikenの起動時にもパスワードを設定できるが、もう1段セキュリティーをかけられる。誰にも見られたくないメールを保存しているフォルダーで有効にしておくといいだろう。
メールをデータベース化するならGmailと併用する
メールの運用で重要なのがバックアップだ。メールサーバーに全データがあるIMAPメールならともかく、従来のPOPメールならダウンロードしたメールはバックアップしておかなければならない。Shurikenにもバックアップ機能が搭載されており、一定間隔で自動保存する機能も備えている。PCが起動不能になるなど滅多にあることではないが、その万一の時にメールデータを失うわけにはいかない。できるだけ、毎日バックアップしておきたいところだ。
もし、バックアップに手間をかけたくないなら、Gmailを活用しよう。Gmailにアカウントを登録し、すべてのメールを受信するようにしておけばいい。万一、Shurikenのバックアップごとメールデータを失ってしまっても、なんとかなる。
インストール型のメールソフトの弱点としては、膨大なメールの全文検索が遅い点が挙げられる。例えば、筆者のメインフォルダーには約13万通のメールがあるが、特定のキーワードで全文検索すると約4分かかる。6コアのCPUと16GBメモリー、高速SSDという環境でもこの時間なので、古いPCなら待ちきれないだろう。しかし、約6万5000通のメールが保存されているウェブメールのGmailでは、全文検索にかかった時間は約4秒。倍の13万通があったとしても10秒以内には検索できるだろう。膨大なメールをデータベースとして利用するなら、Gmailに軍配が上がる。この点からも、Gmailアカウントにバックアップしておくことをお勧めする。
Shuriken 2012は無料の体験版が用意されている。興味を持ったらぜひ試して欲しい。設定したアカウントやアドレス帳、メールデータは製品版に引き継げるので、存分に使い倒そう。インストール時には、「Windows Mail」や「Outlook」「Outlook Express」「Becky! Internet Mail」「Thunderbird」などのメールソフトからデータを取り込むこともできる。
大量のメールを送受信しているユーザーなら作業効率がアップするうえ、ミスを防いでくれる「Shuriken」の魅力にハマること請け合い。長いつきあいが始まるかもしれない。
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Shuriken 2012 通常版ジャストシステム
一太郎2011 創 プレミアム バージョンアップ版ジャストシステム
筆者紹介─柳谷智宣

1972年生まれ。ネットブックからワークステーションまで、日々ありとあらゆる新製品を扱っているITライター。日経パソコンオンラインで「ビジネスPCテストルーム」、週刊SPA!で「デジペディア」を連載するほか、パソコンやIT関連の特集や連載、単行本を多数手がける。近著に「ポケット百科 GALAXY SII LTE 知りたいことがズバッとわかる本」(翔泳社)「Twitter Perfect GuideBook」(ソーテック社)、「Dropbox WORKING」(翔泳社)、「仕事が3倍速くなるケータイ電話秒速スゴ技」(講談社)。

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