ソフトバンクグループのWireless City Planning社は、ウィルコムの「XGP」をベースに高度化した高速データ通信サービス「AXGP」(Andvanced XGP)について、メディア向けに説明会を開催。実際に都心部で通信しているデモを実演した。
AXGPによるサービスは、一般ユーザー向けにはソフトバンクモバイルの「SoftBank 4G」が最初となる(2月開始予定)。ネットワーク自体のスペックは下り最大110Mbps/上り最大15Mbps。ただし、当初リリースされる端末はチップセットの性能などから、下り最大76Mbpsとなる。
今回のデモではバスに乗った状態で、東京駅周辺を移動しつつ通信を行なった。最速を記録したのは東京駅八重洲口すぐ近くのエリアで、FTPによるファイル転送において実測最大60Mbps以上を確認した。
今回テストに用いたのは、ソフトバンクモバイルからリリース予定のモバイルルーター「ULTRA WiFi 4G SoftBank 101SI」ではなく、ファーウェイ製のUSBドングルでAXGP専用タイプ(101SIはAXGPだけでなくソフトバンクの3G網にも対応している)。つまりAXGPのみの通信ながら、移動中も若干速度が低下こそすれ、安定して通信できていた。
スマホの登場で爆発的に増加するトラフィック
インフラ関係者にとっては“不都合な事実”
デモに先立って行なわれた説明会では、同社執行役員CTOの近 義起氏(元ウィルコム執行役員副社長)がプレゼンテーションを行なった。
近氏は通信業界には3つのイノベーションがあったとする。最初はグラハム・ベルによる電話の発明。この時代が100年ほど続き、1973年にモトローラのマーティン・クーパー氏が携帯電話を開発。そして2007年にiPhoneがリリースされた。
もっともiPhoneの登場時は過去の2度のイノベーションと異なり、インフラ自体には変化が発生していない。にも関わらず、1年で2倍、5年で32倍、10年では1000倍といった具合にトラフィックのみが増大するという、インフラ関係者にとっての“不都合な事実”があるとする。
クラウドサービスの普及も同様だ。クラウド上でサービスを利用・開発する人たちにとっては青空の下の“雲”かもしれないが、モバイル関係者にとっては“曇り空”であり、爆発的に増えるトラフィックに対応するため、ネットワークに大改革が必要であるとする。
