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ARMが早くも2014~15年のGPU「Mali-T658」を発表!

2011年11月10日 19時17分更新

文● 小西利明/ASCII.jp編集部

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Mali-T658のイメージとブロックダイアグラム。シェーダーコアが倍増の最大8基となる

 英ARMは10日、新GPU「Mali-T658」を発表した。2010年に発表されたMidgardアーキテクチャーを採用するGPUの2世代目にあたり、最大8コアまでのGPUコアを搭載できる。

ARMのGPUの歩み。現在最新のスマートフォンには、Utgardアーキテクチャーの「Mali-400MP」が使われている。今後はハイエンドから、MidgardアーキテクチャーのT604~T658へと移行していく

 同日、都内にて開かれた記者説明会にて、同社プレジデントのチューダー・ブラウン氏はMali-T658について、「(現在使われている)Mali-400と比べて10倍のグラフィックス性能、Mali-T604と比べて4倍のGPUコンピューティング性能を備える」として、より高性能なグラフィックスが要求される将来のモバイルデバイスにも対応できるとしている。

ケビン・スミス氏

 Mali-T658は、ARM初のクアッドコアGPU「Mali-T604」と同じ、Midgardアーキテクチャーを採用するGPUである。ARMにてGPU部門を担当するケビン・スミス氏は、T658の特徴について、「シェーダーコアの増加により性能を向上させた。T604は4コアまでだが、T658では2倍の8コアを実装できる。さらにシェーダー内部の演算パイプラインも2倍に強化して、T604の4倍の性能を実現した」と述べた。製造プロセスは28nmプロセスを前提としている(最終的にどのプロセスを使うかはパートナー次第)。

T658の主な特徴。シェーダーコアが倍増したうえ、演算パイプラインも4基に増えている

 また、GPUコンピューティングに対してシステムレベルでの対応をしており、ARM CPUコアと組み合わせた場合の親和性が高い点も利点としている。これは、ARMコアに他社のGPUコアを組み合わせる製品(例えばTegraやSnapdragon)よりも、GPUコンピューティングへの対応が容易であるということを示す。

 グラフィックスAPIはDirectX 11やOpenGL ES、OpenVGに対応する。またGPUコンピューティング用APIでは、OpenCLやDirect Compute、Renderscriptに対応する。そのほかにも、先日発表された64bitのCPUアーキテクチャー「ARMv8」もサポートしている。

 10日にパートナー企業へのライセンスも開始されたとはいえ、Mali-T658が実際の製品に搭載されて登場するのは、しばらく先の話である。スミス氏によるロードマップでは、1年ほど前に発表されたMali-T604のクアッドコア版が、2012年にハイエンドのスマートフォンに搭載されて登場するくらいだ。同様に、クアッドコア版のT658は2014年、8コア版はさらに先の2015年とされている。

ARMのモバイルプロセッサーロードマップ。2012年にはクアッドコアのCortex-A9コアとクアッドコアのT604を搭載する製品が登場。T658搭載製品は2014年頃からの登場となる(赤枠部)

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