米NVIDIAは9日、コード名「Kal-El」で呼ばれていたタブレット端末向けの新プロセッサー「Tegra 3」を正式に発表した。搭載製品第1弾は、ASUSTeK Computerの「EeePad Transformer Prime」が年内に発売の予定である。
すでに発表されているとおり、Tegra 3はARMアーキテクチャーの「Cortex-A9」をCPUコアとして、5基搭載する設計を採用している。通常のCPUコアは4基だが、残る1基は「Companion Core」として、負荷の低いバックグラウンドタスクやビデオ再生時の処理を担当する。
Companion Core動作時は、ほかの4つのCPUコアは停止しているうえ、Companion Core自体の動作周波数も最高500MHzと低いため、低負荷状態での消費電力を大幅に削減できる。NVIDIAの発表では、既存の「Tegra 2」と比べてビデオ再生時で61%もの低消費電力化を実現しているという。OSやソフトウェアからはCompanion Coreは透過的な存在であるため、アプリケーション側で特に最適化した設計をとる必要はない。
タスクの種類によるCPUコアの使われ方の違いの例。最も処理能力の必要な3Dゲーム時は4コアが1.3GHzで動作するが、Flash付きウェブサイトの閲覧時は2コアだけが動き、ビデオ再生時は最大500MHz動作のCompanion Coreとビデオデコーダーだけで済む
処理性能、特にグラフィックス性能はTegra 2と比べて3倍ほど向上している。グラフィックス機能は12コアのGeForce GPUから構成され、3Dゲームの表示品質を大きく引き上げるという。また、HDMI 1.4経由で3Dテレビに対する3Dステレオ映像の表示も可能としている。
Tegra 3はTegra 2と同様のアプリケーションプロセッサーであり、携帯電話などに必要なモデム機能は内蔵していない。そのため主な用途としては、W-CDMAやLTEといった通信機能を必ずしも必要としないタブレット端末が想定されるようだ。
