Nokiaが10月26日、同社のWindows Phone搭載スマートフォン「Lumia 800」と「Lumia 710」を発表した。「Windows Phone 7.5」(コードネーム:Mango)をベースとし、「Nokia Drive」などのアプリで差別化を図ったが、ユーザーに訴求できるのだろうか? まずは欧州で試されることになる。
無難な端末で無難なスタートを切ったように見える
Microsoft&NokiaのWindows Phone 7.5端末
NokiaがMicrosoftとともに戦略的提携を発表したのは2011年2月、8ヵ月を経ての製品発表となった。だが、すべてが予想通りで、いい意味での驚きや興奮が感じられないのが現状だ。Lumia 800は、“Sea Ray”というコード名ですでにリークしていた写真通りの見た目だった(その後、CEOのStephen Elop氏がMeeGo搭載の「Nokia N9」を発表したときに「ボタンが1つ多い」と言いながら、チラっと見せたものと同じで外観はN9と同じだ)。
タッチと大画面、アプリストアを特徴とする新しいスマートフォンブームに押されたNokiaは、ハイエンドではSymbianとMeeGoを捨ててWindows Phoneに賭けることにした。MicrosoftもNokiaもともにシェアを失っているが、目標は第3のエコシステムの確立。その逆襲がはじまるが、Lumia 800でまずは無難なスタートを切ることになる。
画面サイズは3.7型で、iPhone 4S(3.5型)より大きく、Samsungの「NEXUS GALAXY」(4.7型)より小さい。プロセッサーは1.4GHzだがシングルコア。カメラは8メガピクセルでiPhone 4Sと同じ。RAMもiPhone 4Sと同じ512MB。技術仕様や設計は“オチがない”内容だが、ハードウェアが差別化となる時代は終わった。
ではソフトウェアはどうか。Windows Phoneの問題でもあるが、特に機能的に新しい部分はないし、iPhoneの「Siri」のような目を引く機能も少ない。Windows PhoneはMicrosoftのコントロールが厳しいこともあり、どうしても似通った端末が多い。Nokiaは差別化として、Nokia Driveや「Nokia Maps」「Nokia Music」といった機能の搭載を強調している。
iPhone、Android端末と比べたときに目を引くのが、Windows Phoneのタイルインターフェースだ。このインターフェースは、実際に触った人の評価はいいのだが、リスクにもなりかねない。iPhoneとAndroidが同じようなインターフェースを持つのに比べると、Windows Phoneのタイルはユーザーは慣れるのにちょっとした時間がかかる。
NokiaとMicrosoftがターゲットとする潜在ユーザーのほとんどは、すでにiPhoneやAndroidを利用済だ。タイルと“人中心”のコンセプトは違いではあるが、iPhoneやAndroidを2、3年使ってみたユーザーが、どのぐらい新しいインターフェースを使ってみたいと思っているのか、ここは実際にふたを開けてみなければわからない。
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