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末岡洋子の海外モバイルビジネス最新情勢 第38回

無難な仕上げのNokia初のWindows Phone 差別化は可能か?

2011年11月02日 12時00分更新

文● 末岡洋子

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MicrosoftとNokiaの組み合わせで
ブランド力を高めるイメージ戦略を打てるか?

 そのほかの課題としては、アプリとイメージだ。アプリについては今回は省略するが、イメージ面はかなり難しい課題に見える。現在のコンシューマー市場でMicrosoft/Nokiaともに、「クール」「新しい」「エキサイティング」「カッコイイ」……これらのキーワードとは(無縁とはいわないが)遠い気がする。

 新しさや変化を感じる効果的なマーケティングなしには、敗者連合となって共倒れになりかねない。たとえばプラットフォーム戦略が低迷しかけたMotorolaがAndroidを採用し、Verizonと組んで「DROID」として登場したときのような斬新さが、26日の発表時点では感じられなかった。なおNokiaはイタリアで“The Amazing Everybody”というキャッチのLumiaのTV広告をスタートさせたようだ。

 そして北米市場。ハイエンド端末は北米市場を制することができなければ難しい(それをSony Ericssonの吸収を発表したソニーも認めているところだ)。Lumiaは年内には北米市場に登場しないので年末商戦を逃すことになるが、2012年初頭に登場を目指しており、北米向けにLTE版とCDMA版を作成すると述べている。

Nokiaのシェアを支えてきたローエンドにも
低価格なAndroid端末が襲いかかる

Windows Phoneと同時に発表されたローエンド機。Nokiaの世界シェアを支えているのはこのような端末だ

 Nokiaは26日、Lumiaのほかにもう1つの製品ラインを発表した。「Asha」というSeries 40ベースの端末だ。Series 40はローエンド向けのNokiaのプラットフォームとなるが、同社がいまだに世界最大のシェアを誇る理由は、ほかでもないローエンドだ。派手さはないがNokiaの事業にとって重要な分野である。

 だが、この分野の戦いはさらに苦しいように見える。世界的には名が知られていない多数の中国ベンダーがAndroidを使って、安くてそこそこの機能を持つスマートフォンを次々に作っているからだ。

 選択肢が広がった中国のユーザーが、もはやNokiaがこれまで作ってきたローエンド(画面が小さく、タッチ対応していないタイプ)を選びたいとは思わないだろう。同時にこれまでNokiaのハイエンドを選んでいた中国/アジア/中東の富裕層は、iPhoneやAndroidを選んでおり、途上国でブランドとしての魅力が弱まっている。

 Nokiaはこれに対応すべく、Linuxベースのプラットフォームを開発中といわれている。こちらも気になるところだ。


筆者紹介──末岡洋子


フリーランスライター。アットマーク・アイティの記者を経てフリーに。欧州のICT事情に明るく、モバイルのほかオープンソースやデジタル規制動向などもウォッチしている

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