NokiaとMicrosoftの提携により、「Windows Phone」の成功の鍵を握るのはNokiaになったと言っても過言ではないだろう。そのNokia CEOのStephen Elop氏が6月9日、ロンドンのイベントでWindows Phone戦略、Androidとの競合、Nokiaの建て直しなどについて語った。先に第2四半期の見通しを下方修正した上、同日CTOのRich Green氏が休職することが明らかになるなど、取り巻く環境が厳しい中でのスピーチとなった。
iPhone、Androidでもない
第3のエコシステムを選んだNokia
Elop氏はスマートフォン戦略で失敗が続いたNokiaを立て直すべく、2010年9月にMicrosoftからCEOとして迎えられた。2月にMicrosoftとの戦略提携を発表するまでの間、オープンソースの非営利団体だったSymbianを自社下に戻すとともに、1年前よりIntelと進めてきた「MeeGo」を、「さまざまな価格帯で展開するには、開発の速度が不十分」という理由でメインから実験的なプロジェクトに格下げ。そしてWindows Phoneの採用を進めた。
スマートフォン市場についてElop氏は、「Appleはクローズドなやり方で、ユーザーエクスペリエンスにフォーカスしたスマートフォンを導入した」とiPhoneの登場を形容する。そして、(閉鎖的なiPhoneが)「(オープンな)Androidを生んだ」「他社は一気にAndroid採用に走った」と述べた。スマートフォン戦略変換の必要性があったNokiaはMicrosoftと組むことになる。「3つ目のエコシステムがある。これがわれわれの戦略だ」(Elop氏)。
なお、Windows PhoneとAndroidとを秤にかけたというElop氏は、Androidの3つの問題点を指摘した。1つ目はコモディティ化しており、製品の差別化が図れない点、2つ目はフラグメンテーション(分断化)、3つ目はGoogleのコントロールだ。「オープンソースのコードもあるが、検索などのプロプライエタリコードが入ると違ってくる」とElop氏は述べ、Googleが言う“オープン性”にやんわりと警告する。
そこで、Windows Phoneをローンチし、次期版「Mango」の開発に着手したMicrosoftと提携することにした。Nokiaのハードウェアメーカーとしての強み、サービス側ではMicrosoftの検索技術とNokiaのナビゲーション技術など補完的な関係にあると強調する。
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