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山谷剛史の「アジアIT小話」 第2回

なにかと話題の中国版新幹線に乗ってみた

2011年08月09日 12時00分更新

文● 山谷剛史

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いよいよ乗車
結構揺れるって噂はホント!?

筆者が乗ったのはこのタイプの列車

 乗った列車は南京行きの8両編成。途中停車駅がまったく書いていないが、途中「無錫」「常州」など何駅か停車した。駅に到着したとき英語では「Now we are arriving (駅名) station」だが、中国語では「~駅に到着。停車時間が短いので外で散歩したり買い物に出たりしないでください」と中国人乗客に釘を刺すアナウンスをする。

一等車車内。側面にハンマーがかけられている

 車内の雰囲気や座席の座り心地は悪くない。ただ、一等車にも関わらず、車内無線LANはおろか電源すら準備されていない。また、モニターは車内天井にあるが電源は消えていて何か映ることはなかった。

 壁にはいざというときに窓ガラスを割るためのハンマーがかけられている。これは新幹線に限らず路線バスでも常備されている。路線バスのハンマーは盗まれがちだが、今のところ盗まれた形跡のものはない。

時速300kmをしばしば超えた

時速300kmをしばしば超えた

 大事故直後ゆえか時速350kmまでいくことはなかったが、時速300kmを超えることはあった。前の電車に詰まるのか工事中なのか、しばしば時速100kmを切ることも。各停車駅間の距離はそんなに長くないが時速300kmで走る。乗り心地はモーター音が違う程度はあるけれど、特別な違和感はない。

揺れ比較――中国版新幹線その1



揺れ比較――中国版新幹線その2



 しばしば中国版新幹線で「揺れるらしい」と報道されている。本当かどうか確かめるべく、ミネラルウオーターが入ったペットボトルを中国版新幹線に置き、水がどれだけ揺れるのか撮影したのが上の動画。

揺れ比較――上海リニア



 参考までに上海を代表する高速鉄道であり、最高時速430kmをたたき出すリニアモーターカーでも試した。

 日本の新幹線(東北新幹線、博多南線)も試乗してみたが、乗った感じはそんなに差があるわけでなく、カーブする際には結構傾くリニアモーターカーのジェットコースター感に比べれば、日中新幹線の差は微々たるものと感じた。

浦東空港と市内を結ぶ上海リニア。速度は時速431kmを記録。車窓ごしに流れる景色の速さも未知の世界だ

上海リニアの車内

上海リニアの車内

フロントガラスにヒビが入っている

フロントガラスにはヒビが入っている

 リニアモーターカーのフロントガラスに大きなヒビが入っており、作るだけ作ってメンテナンスが追いついていないのが高速鉄道全体の現状なのか、という不安は感じた。

35元の弁当。コンビニ弁当より高い

35元の弁当。コンビニ弁当より高い

 乗った高速列車は夕刻発。一回車内販売があり、せっかくだからと弁当を注文した。値段は35元(約440円)と結構高い。沿線の伝統的な弁当ではなく、一般的なものであまり日本人の味覚には合わないので、積極的に食べない方がいいかもしれない。

 ちなみに、車内の利用者は相当静かな部類で、車内でビジネスマンと筆者のキーボードだけが響くこともしばしば。中国人はうるさいと一般論で言われるが、車内はそんなことは全然なかった。

 一方で突然日本人サラリーマンが誰よりも大きな声で電話で話し出すのには同じ日本人として恥ずかしかった。中国在住の日本人の間では「日本人は中国で働くとこうなりがち」とも言われるが、願わくば日本人は本国同様にモラル有る行動に徹してほしいものだ。


山谷剛史(やまやたけし)

著者近影

著者近影

フリーランスライター。中国などアジア地域を中心とした海外IT事情に強い。統計に頼らず現地人の目線で取材する手法で,一般ユーザーにもわかりやすいルポが好評。当サイト内で、ブログ「中国リアルIT事情」も絶賛更新中。最新著作は「新しい中国人~ネットで団結する若者たち」(ソフトバンク新書)

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