中国版新幹線こと「和諧号(CRH)」が話題になりはじめた7月頭頃、本連載の編集担当から「中国版新幹線に乗ってみない?」という声がかかった。中国版新幹線の乗り心地はどうなのかを試してほしい、ということだった。
そこで乗ろうと計画し、上海行きのエアチケットを取った後、その新幹線が衝突&脱線&転落し、多数の死者を出す大惨事が発生した。その後、予定通り試乗したものの、しばらく記事の公開を控えていたが、状況がやや落ち着いてきたので掲載することになった。
事故後でも高速鉄道利用客は結構多い
スタートは上海の高速鉄道の基点となる「上海虹橋駅」。飛行機 vs 新幹線を考えるに、新幹線のメリットは空港よりもずっと繁華街に駅が位置することのはずだが、上海虹橋駅は上海の国内便が発着する上海虹橋空港と比べても、繁華街からちょっと遠い。
上海虹橋駅は超巨大。空港のようでありながら空港よりもずっと広い。事故後に利用客が激減したという日本の報道もあるが、そうとは思えないくらい多くの人々がいることが確認できる。ただ、駅が広すぎるため、人口密度は少なく、混雑しているという感じはない。
中国の従来の鉄道駅同様、駅に入ると大きな電光掲示板があり、列車番号と行き先“だけ”が表示されている。つまり日本では新幹線であれ在来線であれ私鉄であれ停車駅が書いてあるのだがこれがない。
試し乗りをすべく、一番近い停車駅を選ぼうとしても、どこに止まるのかわからないのだ。北京行きは少なく、上海の隣の省の省都「南京」「杭州」までの列車が多かったので南京行きのチケットを購入することにした。新幹線・工事・技術のすごさを延々アピールするテレビモニターからの情報によれば、上海―南京間の列車の最高速度は350kmまでいくらしい。ちなみに、上海―南京間の開通は1年前となる2010年の7月1日で、301kmの距離を最短73分で移動できるらしい。
切符は自動販売機経由でも窓口経由でも購入できる。購入する際には身分証明書の提示(自販機ではかざす)が必要だ。外国人のパスポートには当然非対応なので、窓口で並ぶしかなく、そこでは昔ながらの客同士の割り込み合戦も若干ながら健在だ。
「何時」「何等車」「目的地」を言えば指定席切符を購入できる。自由席はない。身分証提示&全席指定席なのだから、何か事故があったときに、どこに誰が座っているかは容易に把握できることは予想できよう。次の電車を指定したため安い2等車は売り切れ、1等車に乗ることになった。
各プラットフォームへの入口ごとに自動改札が用意され、その前に設置された多数のイスはすべて乗客が座っている。ここで待っている人を見ても車内の人々を見ても、乗客の層は広い。
学生や家族連れ、それに企業の管理職らしき人もいる。もともと所得が高い人が多い地域だが、庶民的な服装の人々の利用も多い。
聞き耳を立てて周辺の話を聞いてる限り、事故についての会話を聞くことはなかった(もちろんたまたまだったかもしれない)。中国でも非常に大きく報道された事故なので知らないことはないし、都市間の移動はやはり便利だということで和諧号を選んでいるのだろう。
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