7月28日に開催されたアジア・パシフィック地域の記者を集めたカンファレンス「Next@Norton」(関連記事はこちら)では、シマンテックが提供するセキュリティ製品の概要が語られた。各セッションを通して感じたのは、同社が提唱する「Norton Everywhere」という概念だ。これを簡単に説明すると、ネットワーク接続された各デバイスすべてを同社のセキュリティ技術で守ろうというものだ。今年3月に登場したAndroid向け製品がその第一歩のものになるのだが、今後はどのように展開するのだろうか?
今回、セッションの合間に日本のマーケティングを担当する、コンシューマ事業部門リージョナルプロダクトマーケティングシニアマネージャー風間彩さんにそのあたりのお話を伺うことができた。Norton Everywhereをどうのように実現するのか、そしてマイルストーンはどのようになっているのか。まずはノートンインターネットセキュリティ2012の概要から質問をぶつけてみた。
ノートンインターネットセキュリティ2012は
セキュリティ面以外にも軽快さに注目してほしい
――ノートンインターネットセキュリティ 2011と今回発表された2012ではどのような部分が違うのかまとめてみました。従来に比べて速度が20%向上し、インターフェイスが刷新。またダウンロードしたファイルを見張るダウンロードインサイトとパスワード管理を行なうノートンセーフIDが2.0にバージョンアップして搭載されたと。1つわからなかったのが、パワーイレイサーという1、2年前から無料で提供されていた機能が新たに入ったわけですね?
風間彩(以下、風間):そうです。ノートンパワーイレイサーは現在無償でネットで提供しているのですが、今回ノートンブータブルリカバリーツールと一緒にOS内で起動できるようになりました。
――例えば、同じ家庭のネットワーク内の1台にノートンインターネットセキュリティ2012が導入されていたとすると、同一ネットワーク内の製品がインスト-ルされていないPCをスキャンできるということですか?
風間:そうです。具体的には、長時間ウイルススキャンをかけていなくて、ノートンのステータスに問題がある場合、ノートンマネージメントで「リスクあり」の状態を修復することができます。ノートンパワーイレイサーはかなり積極的な検出能力がありますので、逆に誤検知もあります。少し怪しいと思うものも見つけます。ただ、我々のテクニカルサポートに電話をかけてくる人は、「通常のセキュリティソフトでスキャンをかけても検出できない!」と、駆け込みで入ってこられる方がかなり多い。実は偽のセキュリティソフトだったりするとか最近多いので、問題の解決に役立つはずです。
――例えば、Macを狙ったウイルスソフト偽装マルウェアのMac Defenderとかですね。
風間:まさにそうです。ノートンパワーイレイサーはWindowsのみですが、偽のウイルス対策ソフトの検出など、そういった場合に使っていただきたいわけです。
――そのほかライセンス管理をするノートンマネージメントという機能が入るという発表がありました。
風間:ええ。これはライセンス管理の機能です。例えば、有効なライセンスを持っていればPCではなくスマートフォンにもインストールをしたり、3ライセンスのうち2ライセンスを使っていたとしても、従来の2ライセンスを削除すればまた3ライセンス使えるという形になります。
――そのほかに2011から変更された点というのはあるのでしょうか?
風間:SONARがバージョン4.0にバージョンアップされました。カンファレンスで紹介したように4つの保護層(ネットワーク、ファイル、サイト評価、振る舞い)があります。我々はこれが全部できるからノートンは優れていると言えると思っています。
ネットワークの部分の脆弱性からユーザーを守る。それに定義ファイルベースでの保護も必要です。SONARというリアルタイムで怪しい振る舞いをしているファイルを見張っているエンジンも力強い味方です。最後はそれだけではなく参謀役とも言うべきノートンインサイトがSONARと連携します。ノートンインサイトは1億7500万人のノートンコミュニティウォッチというものを通じて、ファイルの発信地などのいろいろな情報をいただいて、それを分析して、悪質なファイルなのか、不安定なファイルなのかというのを見分けているものです。これらが強力に連携を取っているわけです。
――こういう言い方をすると揚げ足をとっているように感じるかもしれませんが、昔からノートンの検出能力は凄いのですが、インストールするとPCの動作が重くなってしまった。ところが、2005年くらいから動作が軽快になってきました。今までのその負のイメージを払拭するのが必要じゃないでしょうか。
風間:一番大きなところはそこですね。PCの保護が重要な部分ですので、保護機能レベルを上げるには4つのレイヤーをうまく稼働させる必要があります。一方でパフォーマンスですよね。パフォーマンスに関しては今回の製品で50%ほど上がっています。
シマンテックは、開発段階でPCのパフォーマンスに影響を与えるというのはNGなんです。どんなにいいものを作ってもパフォーマンスが悪いというのはなしと。だからと言って他社さんの例ではないですけど、遅いからファイアーフォールを削るとか、そういうのはだめですよね。ユーザーがサイバー犯罪に遭わないように必要な機能は必ず盛り込む。ただし、その段階ですべてのコードに重くなるようなものは入れないというのが開発の大きな目標となっています。
――重いと言われていた動作を改善するのは至上命題だったんですか?
風間:2006バージョン以前は、ものすごく重かったのは認めます。実は2007より2008、そして2009の方が軽い。最新版が一番速く、新しいバージョンが出たらそれを使ってほしい。有効期間内でしたら無償でアップデートできますので是非新しいものを使っていただきたい。至上命題だったのかという指摘はまさにその通りでして、改善したのは2007からなんですが、膨大な時間がかかりましたね。一度ユーザーは嫌な思いをしたら二度と使いたくないわけですからね。軽快さに関しては、他社のものと比べても遜色ないどころか、最速・最軽量であると自負しています。
