リコーとHOYAは1日、HOYAのPENTAXイメージング・システム事業をリコーが買収することで合意したと発表した。
HOYAは新設する子会社にPENTAXイメージング・システム事業を吸収分割および事業譲渡し、その子会社の発行済株式をリコーがすべて取得する。買収完了は10月1日の予定で、買収後も引き続きその子会社がPENTAXの事業を行なうほか、リコーのカメラ事業も子会社に移管する。買収金額は非公開。
買収により、リコーはデジタルカメラなどの製品の一部でPENTAXブランドを使用。レンズ交換式カメラの事業強化やコンシューマーをターゲットとした付加価値事業、セキュリティ関連製品の拡大などを行なう。また、中判デジタルカメラを利用したイメージ・アーカイビング事業への参入も検討する。3年後には1000億円を超える規模の事業にするのが目標となる。
買収については、2年ほど前から協議が進められていたとのこと。その理由についてリコーの代表取締役社長執行役員である近藤史朗氏は、「ネットワークの進展でワークスタイルや個人のライフスタイルが変わっていく」と考え、企業向けの複写機や複合機などが事業基盤である同社について「コンシューマー事業の確立が最大かつ長年の課題だった」とした。その上で「(デジカメ事業を)足してシナジーを得るだけでなく、強い戦略的意志を持って発展させていきたい」と語った。
また、HOYAの代表執行役最高経営責任者である鈴木 洋氏は「苦労はしたが、(利益を上げられる)ひとつの区切りが付いたので、リコーさんにバトンタッチをするという決断をした」と述べ、「まだこの(デジタルカメラ)業界は再編が続くべきだし、そのひとつの先駆けと思っている」と語った。リコーに売却する理由については「カメラ事業を真剣に受け止めてくれると感じた」からだとした。
なお、HOYAも内視鏡やデジカメ用レンズモジュール、DVDピックアップレンズなどの事業で引き続きPENTAXブランドを使用するという。
PENTAXは旭光学工業として、1952年に日本で初めて一眼レフカメラを開発。2008年からはHOYAの一事業部として「PENTAX」ブランドのデジタルカメラの開発・販売などを行なってきた。