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末岡洋子の海外モバイルビジネス最新情勢 第19回

VerizonのiPhone提供はどんなインパクトを与えるのか?

2011年01月19日 12時00分更新

文● 末岡洋子

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ついにアメリカ最大のキャリアからも
iPhone 4が発売される

 1月11日、Verizon Wirelessがついに「iPhone 4」を提供することを発表した。アメリカではAT&Tによる独占販売が3年半続いたが、2月10日に終止符を打つことになる。アメリカでiPhoneが複数のキャリアから提供される“マルチキャリア”となることで、スマートフォンのシェアにどのようなインパクトがあるのだろうか?

日本と同様に、独占販売状態だったアメリカのiPhoneだが、Verizonからもリリースされることになった

 iPhoneが複数のキャリアから販売される――これはすでにヨーロッパ各国では実現している。アメリカと同様に最初は1社独占で、その後マルチキャリアになったフランスの例を見てみよう。

 フランスでiPhoneが発売されたのは2007年11月のことだ。Appleはローンチ時にフランス最大手のOrangeと手を組んで独占発売した。だがその後、ナンバー3のBouygues Telecomが当局に苦情を出し、その結果、2009年4月末からは同国トップ3の全オペレーターからiPhoneがリリースされている。

フランスでiPhoneを買う際は、キャリアも自由に選べる

 その発売後1ヵ月間で、iPhoneの販売台数は一気に約200%増加した(GfK調べ)。同時期に行なわれたStatCounterの調査では、フランスにおけるスマートフォン市場において、iPhoneはOS別シェアで74%超のシェアを記録した。つまり、複数のオペレーターから提供されることでiPhoneのパイが拡大した成功例といえる。

フランスではシェア拡大に大きな役割を果たした
マルチキャリアによるiPhoneの提供

 だが、これがそのままアメリカに当てはまるかとなると、少々疑問だ。

 フランスでiPhoneがマルチキャリアで販売されるようになったのは2009年。ほんの2年前だが、この2年間の間にスマートフォン市場は大きく変わっている。台風の目はもちろん「Android」だ。

 2009年時点では、メーカーにとっても消費者にとってもどちらかというと“リスキー”な選択肢だったAndroidだが、OS自体の改良が進むと同時に、端末のラインナップは増え、ユーザーへの知名度も高まった。

 HTCを始め、Sony Ericsson、世界的なブランド力を持つSamsungも味方についた。アメリカでは、積極的にAndroidをプッシュしているMotorolaとSamsungの2社だけでもかなり幅広いユーザーにアピールできている状況だ。

 もう1つは、Verizonが発表したiPhoneはCDMA版(期待されていた3.9GのLTEではなく)という点だ。CDMAのみの対応でもアメリカ国内では不都合なく利用できるだろうが、世界的には利用できる地域は限られている(たとえばヨーロッパでは利用できない)。これも、一部のユーザーには考慮すべきポイントとなりそうだ。

 さらにAT&T向けiPhoneに対する、ユーザーの最大の不満はサービスの質(電波状況)のようだが、この点については堪忍袋の尾が切れて、すでにVerizon(つまりAndroid端末)に乗り換えてしまっている人も少なからずいそうだ。VerizonのiPhone提供は少々遅すぎたと見ることもできる。

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