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VDIの前にアプリケーション仮想化で管理の課題をクリアに

新旧IEをWindows 7上で同居させたシマンテック

2010年11月15日 06時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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11月12日、シマンテックはSymantec Endpoint Visualization Suiteで実現するアプリケーションの仮想化技術についての説明会を行なった。ここでは仮想化技術により、Windows 7上でIE6とIE8を同時実行する機能が披露された。

ITのコンシューマ化にはアプリ仮想化が必要

 アプリケーション仮想化は、OS上に仮想化レイヤを構成することで、アプリケーションとデータをOSから分離する技術。OSとアプリケーション・データが密接に連携している従来のPC環境と異なり、それぞれを独立して管理することが可能。これにより、内部ファイルの書き換えの競合やバージョンが異なるアプリケーションの同居、容易な導入と削除、障害復旧の迅速化などが実現するという。また、アプリケーションやデータをパッケージ化し、クライアントにイメージとして配信するストリーミング技術と併用することで、管理効率をより高めることができる。アプリケーションに絞ってはいるが、広義にはシトリックスやヴイエムウェア、マイクロソフトなどが提供しているVDI(Virtual Desktop Infrustracture)やデスクトップ仮想化に含まれる。

さまざまなデスクトップシステムの実行基盤

 シマンテックでは、買収したアップストリームやアルティリスの製品をベースにした「Symantec Endpoint Virtualization Suite」という製品群でアプリケーションの仮想化を実現している。製品は「Symantec Workspace Streaming(ストリーミングとアプリケーション仮想実行)、「Symantec Workspace Virtualization(アプリケーション仮想実行のみ)」、「Symantec Workspace Corporate/Remote(コネクションブローカ・国内未リリース)」の3製品から構成されている。

シマンテック 執行役員 マーケティング本部長 石崎健一郎氏

 発表会の冒頭、挨拶に立った執行役員 マーケティング本部長 石崎健一郎氏は同社が捉えている今後のトレンドとして、ITのコンシューマ化、モバイル化、ソーシャル、仮想化・クラウドの4点を挙げた。そして、この今回紹介するアプリケーション仮想化に関しては、「今後、個人と企業の業務が混在するITのコンシューマ化が起こる。アプリケーションの仮想化をしないと、こうしたITのコンシューマ化が進展したときにきちんと業務と個人を切り分けられない」と語った。

カーネルレベルの仮想化でIE6とIE8を同居させる

シマンテック プロダクトマーケティング部 プロダクトマーケティングマネージャ 裵 琪相氏

 次にプロダクトマーケティング部 プロダクトマーケティングマネージャ 裵 琪相氏は、VDIにおけるシマンテックならではの価値について説明を行なった。同氏はSymantec Endpoint Virtualization Suiteが実現する機能を「ダイナミックなワークスペースの構成」と位置づけ、「端末やOSの種類を問わず、エンドユーザーの役割に応じ、デスクトップ、アプリケーション、プロフィール、データをダイナミックに割り当てられる」と説明した。

Symantec Endpoint Virtualization Suiteが実現する「ダイナミックなワークスペースの構成」

 裵氏はVDI市場の拡大を説明しつつ、アプリケーション管理の課題について言及。「物理環境を忠実に再現できるのが、よい仮想化技術になる。つまり、よい仮想化技術では物理環境のアプリケーション管理の課題まで再現してしまうことになる」ということで、複数アプリケーションでのシステム競合、バージョンの不整合、セキュリティホールなどのアプリケーション管理の問題を解決しないままVDIに移行しても、意味がないと指摘した。その点、Symantec Endpoint Virtualization Suiteでアプリケーションのパッケージ化を行ない、さらにVDIによりサーバーからの配信を行えば、究極のエコシステムが実現できるとした。

アプリケーション管理の問題を抱えたままVDIに移行しても意味がない

真の仮想化はカーネルレベルで行なうもの。フィルタドライバで制御を実現

 Symantec Endpoint Virtualization Suiteにおける他社との差別化要因は、カーネルレベルの仮想化を実現しているという点だという。「他のアプリケーションは仮想化モジュールがアプリケーションの中に含まれているが、シマンテックの仮想化はカーネルレベルで実装している」(裵氏)という。OS上のフィルタドライバーで制御を行なっているため、アプリケーション間でデータをやりとりしたり、逆にアプリケーションやOS同士でお互いを隠ぺいすることも可能だという。

 こうした仮想化で実現させることとして、いまだに利用ユーザーの多いIE6を仮想化し、Windows 7上で実行するという例が紹介された。ご存じのとおり、IE6を前提に業務アプリケーションを開発している会社は多いが、すでにWindows Vistaや7ではWebブラウザもIE7やIE8に移行しており、Webサイト側でIE6をサポートしないところも増えている。とはいえ、「XP Mode」などの仮想OSを用いると、パフォーマンスも低下し、管理コストもかかる。これに対して最新のSymantec Endpoint Virtualization Suiteを用いることで、IE6とIE8をWindows 7上で同居させることが可能になっている。「2年前に顧客に回ったときは、『IEの仮想化はできるのか?』と必ず聞かれた。当時はできなかったので、意地になって開発した」ということで、ようやく完成したものだという。

IE6を仮想化し、Windows 7上で動作させる

 発表会では、実際のSymantec Endpoint Virtualization Suiteが行なわれたほか、Symantec Workspace Streamingでアプリケーション配信を行なうことでライセンスコストの削減、統一した授業環境などを実現した東北工業大学などの事例が紹介された。

 現状、VDIからアプリケーション仮想化のみを切り出して提供しているSymantec Endpoint Virtualization Suiteは、業界内で特異な存在だ。とはいえ、アプリケーション仮想化はデスクトップ仮想化の1機能として認知されて部分もあり、他のVDI製品に比べてアピールが弱い。仮想化やイメージストリーミングなど製品のユニークさをユーザーに認知させるのは、まだ敷居が高いのではと感じられた。

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