標準で電源も冗長化されている
PCやサーバーの安定動作に欠かせないのが電源だ。こちらもチェックしてみると、細長い電源ユニットが2台装着されている。
電源ユニットはオレンジ色のクリップをつまみながら引き出せる仕組みになっていて、ケーブル脱落防止のためにマジックテープでケーブルを固定できるようになっている。電源ケーブルは、意外に「ポロッ」と外れてしまうことがあるので、ための配慮だろう。
なお、ここまでの作業で工具は一切使っていない。HDDや電源、光学ドライブ、RAIDカードなど、ほとんどのパーツはツールレスで取り外し可能だ。
さて、取り出した電源ユニットを確認すると、出力は片方が最大500Wとなっている。これは両方をコンセントにつなげて1000Wを確保しないと動かないということだろうか?
疑問は残るが、ひとしきり内部を見終えたので筐体カバーを閉めようとすると、その裏には詳細なマザーボードのチップ構成と、各部品の取り扱い型が記載されていた。
最初から教えてくれればいいのに! という勝手な怒りは置いておいて、このカバー裏にある説明によれば、HDDだけでなく電源もホットスワップ対応と記載されている。
これは万が一、片方の電源ユニットが故障しても、もう片方に切り替わって稼動し続けるということだ。
電源を入れた状態で「電源を引き抜いてみよう!」
電源ユニットがホットスワップ対応だと分かれば、試したくなるのが人情。さっそく設置場所を確保して、液晶ディスプレーやマウスを装着してみた。そして、いざ電源オン!
R410 「フォォォォォン」
僕 「ほほう、なかなか静かではないか。よしよし…んんん?」
R410 「フォォーウィーン…キュィィイ"イ"イ"イ"ン"!」
僕 「きっと静かだって信じていたのに! は、図ったな、R410! 俺も計ってやる!」
起動時こそジェットエンジンでも始動したかと思ったが、起動が完了すればドライヤー程度の音に収まった。どちらにせよラックサーバーは隔離したほうが良さそうだ。
騒音以外にも問題が発生。初回起動の設定はOKボタンを連打して終了させてしまおうと思いきや、パスワードの設定画面で必ず失敗する。どうやらWindows Server 2008 R2では、パスワードにアルファベットの小文字と大文字に加え、数字を入れないと認証してくれないらしい。なんとかパスワードを設定し、無事サーバーが起動した。
それではさっそく、電源の検証をしてみよう! まずは、片方の電源ケーブルを引き抜いてみた。結果、サーバーは何事もなかったように動いている。電源ユニットの切り替えに全くタイムラグが無いようだ。すばらしい! 今度は電源ユニットごと引き抜いてみたものの、もちろん平然と稼働していた。
では2本丸ごと引き抜いたらどうなるだろう!? もちろんサーバーは落ちた。楽しい! ではなく、システム管理者として、マシンの挙動を知っておく必要があるのだ。これは興味本位での行為では決してないのである。
片方の電源だけ動かすとエコになる?
ここで気になったのは、片方の電源ユニットだけ動かしている場合と、両方動かしている場合は、どちらが「エコ」なのかということ。電源ユニット冗長化のために、2倍の電気代を毎月支払うのはさすがに辛いのである。そこで、単体稼働と双方を稼働させた場合の消費電力をチェックしてみた。
単体稼働時は、アイドル状態で160W前後。両方を稼働させた場合は169W前後という結果だった。電源ユニット単体の待機電力が約10Wだったので、9Wの差は待機電力が1台分プラスされたことによる差ということだろう。
東京電力の一般家庭向け電力プラン「重量電灯B」であれば、9Wの電力を24時間365日使用した場合、年間の電気代は2144円になる。企業の場合はビルごとの契約など、特殊な電気代プランになるのであくまでも参考金額だが、この程度の差で安心が得られるのならきちんと両方の電源ユニットを稼働させたほうが良さそうだ。
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