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【所長コラム】「0(ゼロ)グラム」へようこそ

iPadは、本よりも雑誌の読者に期待されている

2010年05月27日 16時00分更新

文● 遠藤諭/アスキー総合研究所

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 iPadが発売されて、米国ではメチャメチャ盛り上がっていると伝えられている。日本でも、アスキー総合研究所が5月21~24日に実施した『iPad購入意向調査』によれば、iPadを「購入する」と答えた人は2.5%(「予約した」を含む)。一見、少なそうな数字に見えるが、人口から逆算すれば、140万人もが購入する意向ということだ。「購入を検討する」まで含めると約20%となり、“iPad売れそう”というわけだ。

iPadの購入意向

「iPad」を「予約した」+「購入すると思う」という回答者は、全体の2.5%(アスキー総研「iPad購入意向調査」より)

 5月25日放送のテレビ東京『ワールド・ビジネス・サテライト』では、アナウンサーの小谷真生子さんがiPadをスタジオに持ちこんで、番組そっちのけで盛り上がっていた。絵本タイトル『Alice in Wonderland』を動かして画面を傾けてみたり(このソフトでは画面の中のアイテムがそれによって動く)、ピアノソフトを鳴らしたりして楽しそうだった。

 あの放送を見て、iPadが女性に受けそうだというので、購入の決意を決めたオヤジもいそうである。そしてまた、電子書籍という大きな波も同時に訪れていて、iPadはその主要プレイヤーになる可能性も高い。

 しかし、iPadで注目すべきなのは、業界的に「アップルの新製品がどれだけ売れるか」とか、「電子書籍というマーケットが立ち上がるか」といったレンジの議論に留まらないと思う。


MacユーザーではないiPhone/iPadユーザーという
新たなデジタル層が急拡大

 アスキー総研で1年前の6月(『iPhone 3GS』の発売時)に行った調査では、iPhoneユーザーの約半数が「Mac OS」の利用者だった。それが現在までに、iPhone利用者に占めるMac OS利用者の割合はどんどん減少してきている。初期にiPhoneを買ったのはアップルファンの人たちだったが、その後、一般のユーザーにiPhoneが浸透してきたことがわかる。

 しかも、iPhoneユーザーからMac OS利用者を差し引いた、いわば「ピュアなiPhoneユーザー」層というのが、なかなか興味深い。『MCS 2010』でそれを見ると、まず、年齢では20代が最も多く、30代、40代と続いている。たしかに、電車の中でiPhoneを使っている人を見ると、男女とも若いように見える。

 さらに、彼ら非Mac系iPhoneユーザーの「休日の楽しみ方」では、「デート」と答えた人の比率が高く、「キャリアアップ指向」も強いことが分かる(「『MCS 2010』発売のお知らせ」参照)。従来、スマートフォンやPDAの利用者は、休日にデートをする時間はなかったのではないかと思われる。それに対して、非Mac系iPhoneユーザーは、いわゆる「リア充」だ(ASCII.jpのO君によれば、これは彼らを憐れむ言葉で、本来そういう使われ方をしていたものだが……)。彼らは、新しいデジタルの主流となりうるユーザー層だと見ることができる。

 そして、iPadで何が重要かというと、このiPhoneで広がっている新しいユーザー層を、さらに拡大する可能性がある点だ。iPhoneには見向きもしなかった、さらに新しいデジタル層が、iPadによって生まれる可能性がある。秋葉原の神田明神下から嬬恋坂交差点あたりをうろうろしている愛すべきスモコンユーザーたちとは、異なる人たちなのである。

iPad購入意向者の所有端末

iPadを購入する、検討している回答者の所有端末を見ると、購入予定者の4人に3人は、iPhoneユーザーではないひとたちだ(アスキー総研「iPad購入意向調査」)

 事実、iPadがiPhoneよりも広いユーザー層に注目されていることは、アスキー総研のアンケート結果にも出ている。iPadを「購入すると思う」(「予約した」を含む)の25%が、iPhoneユーザーだ。これは逆にいえば、iPadを買う人の4人に3人は、まだiPhoneに染まっていない人たちなのである。また、iPhoneユーザーの中心ユーザー層が20代であるのに対して、iPad購入予定者は30代~40代と年齢が高くなっている。

 iPadの購入意向者とiPhoneユーザーは、いまのところかなり異なる集団のようである。

 iPhoneは画面が小さくて文字が読みずらいなどといった理由で、二の足を踏んでいた40代の人たちが、iPadなら買おうと考えているというのもあるだろう。また、iPadに惹かれる理由について、利用目的の順では「趣味・娯楽」が65%、「仕事」が35%、「生活の効率化」が29%となった。われわれの過去の調査の経験からすると、この種の端末としては意外にも「仕事」に役立たせようという人が多いのだ。接触メディアで見ると、経済紙やビジネス誌の購読比率が高いことも明らかになっている。

 現状での「iPadを買う人」のプロフィールが、なんとなく浮かび上がってくるが、コンテンツや利用サイトで特徴を切ってみると、次のような項目のポイントが高い。


  • 映画『おくりびと』:29%が見た
  • テレビ番組『水戸黄門』:29%が見ている
  • 利用サイト『nikkei.net』:75%が利用している

 これは、客観的事実なのだが、単純に購入意向者の年齢が高いことによると見るべきだろう。ライフスタイルやプロフィールの傾向を見るには、ユーザーをもう一段掘り下げる必要がある。

 なお、今回のアンケート結果は668サンプルだが、これは『MCS 2010』の1万人のパネルの一部に対して追加調査したものである(『MCS+1』参照。MCS 2010の301設問とクロス集計することが可能なサービス)。さまざまなメディア接触・コンテンツ消費からの分析も可能になっている。

 たとえば、電子書籍でも注目されるiPadだが、iPad購入意向者の書籍購入数については、「月に1~2冊」と答えた人が約半数の47.1%で、多いとはいえないがまずまずの数値といえる(全体では、半年で3冊未満が35.5%と最も多い)。雑誌は「月に3~4冊」と答えた人が29.4%で、書籍以上にその傾向が強い(全体では月1~2冊や年間3冊未満にピークがある)。

 つまり、iPadは、本を読む人よりも雑誌を読む人に期待されている


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