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まつもとあつしの「メディア維新を行く」 第1回

ネット帝国主義、その先にあるもの。

2010年04月04日 12時00分更新

文● まつもとあつし

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コンテンツビジネスの旨味はプラットフォームが持っていく

 しかし一方で、氏が指摘する「ネット上の情報流通で市場シェアを獲得したごく一部の企業のためのもの」といった指摘は的を射ている部分もある。

4月下旬には国内でも発売が予定されている「iPad」。電子書籍販売プラットフォーム「iBooks」でAppleは電子書籍販売に参入。AmazonもKindleアプリをすでに発表済みだ

 電子書籍の世界で考えると、本格的な電子書籍市場がKindle+Amazon、iPad+iBooksによってもたらされると予想される中、プラットフォームによる第一の受益者はAmazon、Appleだということは議論の余地がないところだ。

 そして、ここでコンテンツを得意とする(はずの)人間たちにとって重要なのは、AmazonもAppleもハードとサービスに軸足を置いており、コンテンツそのものは作っていないという点だ。

 話題の電子書籍に限らず、音楽、映像、ゲームなど(あるいはTwitterのようなコミュニケーションのトラフィック自体でさえ)、およそデジタル商材と呼ばれるものは、ネット上の商品棚(=プラットフォーム)に並べられ、マーケティングに秀でた事業者によって取引ルールの時点からコントロールされる。

 ハードの優劣ではなく、プラットフォームを制するものが商取引を制する状況がいよいよ本格化したと言えるだろう。商流を押さえたものが莫大な利益を得る反面、そこにプラットフォーム事業者の立場で参加できるプレイヤーはごく一部に限られる。

電子出版を巡る主要プレイヤーは海外勢
プレイヤー デバイス ビジネスモデル
Amazon Kindle Amazonでのリアル書籍の販売に加え、電子書籍をラインアップ。価格は9.99ドルを中心に設定
Apple iPad/iPhoneなど 優れたユーザーエクスペリエンスとiTunes Storeとの統合を武器に参戦。価格はAmazon同様
Google 特になし 書籍の内容も検索できるブックサーチ(関連記事)を提供。権利者と広告レベニューシェアを行なう
Sony Reader ハードウェアの完成度の高さから北米ではKindle、iPadに次ぐ人気を誇る。日本では未発売

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