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ノキア日本撤退を振り返る

2010年03月25日 09時00分更新

文● Ling-mu、山根康宏、写真●霜田憲一、山根康宏、編集協力●ACCN

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日本におけるノキア端末

 ノキアは日本の携帯電話市場向けに、かなり初期の段階から端末を提供している。また、たんに端末を投入するだけではなく、YRP(横須賀リサーチパーク)にも開発拠点を構え、最先端の技術開発も行なっていた。

 ところが、W-CDMAのサービスがドコモからFOMAとして開始される前に、日本向けの独自端末の開発から手を引いてしまったのだ。そのため、日本語端末はJ-フォン(現ソフトバンク)向けに三洋のOEM端末を販売するのみとなった時期もあった。ノキア・ジャパンではGSMモデルの開発は引き続き行なわれ、結果、『Nokia 6600』などが産まれる。

Nokia 6600

 2001年、J-フォンがボーダフォンに買収され(社名が変更されたのは2003年)、グローバルでのW-CDMA端末の発売に合わせるように、日本への端末販売も再開された。

 オペレーターを通した本格的な端末の販売は、『Nokia 6630』をベースにしたボーダフォン『702NK』からとなり、その後継続して日本語端末のリリースが行なわれるようになった。

『Nokia 7600』 ソフトは日本語化されたがボーダフォンでの取り扱いはなく、スタンダード版としてノキア・ジャパンが発売。マニアに注目された。

 ここでの注目点は、PDCの時代と異なり、日本語端末は数ある言語バージョンのひとつであるということだろう。

『Nokia 6650』プラットフォームはS40。ソフトは英語のまま、八重洲のノキア・ストア(閉店)に加え、一部のボーダフォンショップで販売された。

 ノキアの端末の開発は特定地域(国)をターゲットとするのではなく、世界共通の端末を開発し、ソフトウェアレベルでのローカライズ(カスタマイズ)をほどこすことで、販売地域に対応するということが基本方針となっている。

 実際のところは中国だけ例外的に(W-CDMAや無線LAN搭載端末の販売ができないという事情から)、W-CDMAモデルとは別にGSMのみのモデルを開発している。これは圧倒的な市場規模を誇る中国だからこその措置だろう。

 ボーダフォン(現ソフトバンク)向けの端末以外にも、スタンダード版として『Nokia 6630』、『Nokia E61』の日本語版を、ノキア・ジャパン自ら販売を行なった実績がある。オペレータの力が強い日本ではメジャーにこそなれなかったが、日本におけるSIMロックフリー端末の先駆けであり、自由度を求めるユーザーからは賞賛された。

 2008年末にはソフトバンクから『Nokia N82』と『Nokia E71』の発売が発表、E71に関してはドコモからも発表があった直後、日本における端末販売撤退の衝撃が走る。N82は台数は限られていたものの無事に発売されたが、E71は両キャリアとも発売を中止。

Nokia N82

Nokia E71

 めずらしい薄型ストレートQWERTY端末として注目され、発表会等で実機に手にした関係者の評価も高く、メディアにも多く取り上げられた。ノキアのマニアでなくても、発売中止にガッカリしたした人は多いと聞く。

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