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シマンテック「2010年版データセンターレポート」を発表

サーバー仮想化はミッションクリティカルにまで進出

2010年03月17日 09時00分更新

文● 金子拓郎/TECH.ASCII.jp

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3月16日、シマンテックはデータセンターに関する調査レポート「2010 State of the Data Center Study(2010年版データセンターレポート)」を発表した。これによると、従業員数2000~9999名の「準大手大企業」が、より大規模/小規模な企業と比べ、クラウドコンピューティングなどの採用が活発であること、サーバー仮想化の導入は2009年に急速に進んでいることなどがわかった。

 今回発表されたレポートは、米国の調査会社Applied Researchが2009年11月行なったもので、今年で3回目となるレポート。全世界の大規模な企業1780社に対して、データセンターの使用状況、仮想化やクラウドの導入具合、コスト削減のための戦略や今後の取り組み予定などを質問している。

調査方法と対象国

 1780社は規模に応じて下記の3種類に分類。そのうち日本企業は150社で、すべてが大手大企業となった。

調査企業の分類
分類従業員数
大手大企業1万名以上
準大手大企業2000~9999名
大企業1000~1999名

 まず最初に発表されたサマリーによると、7割強の企業がサーバー仮想化を導入済みだった。また、

  1. ストレージ仮想化
  2. サーバー仮想化
  3. サーバー統合
  4. プライベートクラウド
  5. レプリケーション
  6. 継続的なデータ保護
  7. パブリッククラウド
  8. Infrastructure as a Service
  9. Platform as a Service
  10. データの重複排除
  11. Storage as a Service

という新技術の導入については、従業員数で大手大企業と大企業の間に位置する準大手企業が、各項目について上位という結果になった。また、日本企業(すべてが大手大企業)については、グローバルの大手大企業より総じて低い導入状況であった。

新技術の導入状況

調査結果を発表する朝倉英夫氏

 各社が利用しているデータセンターの数は、日本もグローバルも6ヶ所だった。これについて、説明にあたったシマンテックのプロダクトマーケティング部プロダクトマーケティングマネージャ朝倉英夫氏は、6は多いかなと感想を述べた上で、「データセンターは、どんどん増やすのではなく集約化するのが昨年からの流れ」と説明。グループ会社のデータセンターを集約化するケースもあり、またグリーンITも集約化を後押ししていることなどから、今後はデータセンターの数は減るのではと解説した。

 毎年厳しさをますITコスト削減の動きだが、これに応えるための「コスト抑制のための戦略」として上位に位置するのは、「ITスタッフの横断的なトレーニング」、「定型業務の自動化の推進」、そして「サーバー仮想化/サーバー統合」だ。これらは、日本/グローバルともに、2008年の調査結果と大きな違いはない

コスト抑制のための戦略

 特徴的だったのは、2008年には15%(日本)/17%(グローバル)であった「ベンダーを少数に統一」が、2009年には41%(日本)/37%(グローバル)に増加している点だ。これまでは、ベンダーを問わずよい製品を採用する方針であった企業が、それよりもベンダー統一によるコスト削減を選んだようだ。また、「クロスプラットフォームのサーバーまたはストレージツールの統一化」も、日本/グローバル問わずに増加している。これも、ベンダー統一による調達コストの削減、管理手法の同一化による人件費削減などを求めているのだろう。

世界に一歩遅れる日本企業のクラウド導入

 現在流行のクラウドコンピューティングについては、プライベート/パブリックとに分けて調査を行なった。

プライベートクラウド検討/利用の段階と理由

 プライベートクラウドの検討/利用は、計画中が日本21%/グローバル30%など、グローバルがやや進んでいるようだ。検討/利用の理由では、日本では「資本コストの削減」が50%とグローバルの43%に比べて多かったのに対し、「グリーン化」は32%でグローバルの36%に比べると少ない結果となった。これについて朝倉氏は、日本ではすでにグリーン化が進んでいるからではと評した。

 一方、パブリッククラウドについては、日本では「検討していない」が36%もあった。パブリッククラウドでは、何か問題が生じた際にサーバーが置かれた国の法律が適用される。そのため、トラブルを避けたい日本企業はあまり導入に積極的でないのかもしれない。

パブリッククラウド検討/利用の段階と理由

(次ページ、「急速に導入の進むサーバー仮想化」に続く)


 

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