薄型・大画面テレビ選びには様々な基準がある。
「画質」「機能」「操作性」……これらの主要な要素と並んで、購入する際に「ゲームモード」の性能を強く意識する層も根強く存在する。
ゲームモードとは、薄型・大画面テレビの「表示の遅延」を極限まで抑える表示モードのこと。格闘・シューティング・音楽ゲームに必要な“リニアなレスポンス”を追求する。
ゲームモード自体の搭載は各社の製品で進んでいるが、実際の遅延時間はマチマチで非公開のことも多い。そんななかで、現行最高クラスとなる2フレーム以下の遅延を謳うゲーマー向けテレビが登場した。東芝の「REGZA ZX9000/Z9000」シリーズだ。
いまなぜゲームモードの強化なのか? そして、どのような背景でゲームモードを実現したのか。REGZAの企画・高画質設計を手がける本村氏、住吉氏にゲームモードへのこだわりを尋ねた。
ギリギリではダメ、期待値を大きく越えろ
REGZAシリーズの注力機能には、常に「期待値越え」というキーワードが登場する。REGZAを購入したユーザー、そして購入したいと思う消費者たちの求める機能を、期待を上回る完成度で送り出すのが「REGZAのこだわり」だ。
こうした思想の下で生み出されたのが、REGZA Z9000シリーズに搭載された「新・ゲームモード」だ。「ゲームをやらない方にはまったく意味のない機能ですが、PS3やWii、Xbox 360、PSPなどで遊ぶならREGZAしかない、と断言できます」(本村氏)と開発者自らが豪語する。
デジタル製品の購入を検討しているユーザーが情報交換をする「価格.com」などのコミュニティーサイトで、薄型・大画面テレビ関連の書き込みを見てみると、ゲームに適したテレビを探す質問が非常に多いことに気付く。
「ゲームモードへの要望はREGZA Z7000シリーズの時代から把握していました」(住吉氏)と開発者も把握済みだ。今回の新・ゲームモードでは、この問題について改めて取り組んだ。
そもそも、なぜ薄型・大画面テレビでゲームをする際に遅延が発生するのか? これには(ゲーム機から入力した映像信号)が映像回路を通過するまでの時間と、それを実際に表示する液晶パネルの駆動に要する時間が影響する。
従来機(REGZA Z8000シリーズ)の場合、実際の遅延速度は、約3フレームだった。一般的な人間の感覚では、遅延が50msを越えた付近でゲームの操作に違和感を覚え始める。毎秒60フレーム=1/60秒なので、3フレームで約50msの遅延。つまり理屈上は、3フレーム以下の遅延に収まっていれば、ギリギリ違和感を感じずに済む計算になる。
これらの数字を踏まえて本村氏は言う。
「(より鋭敏な感覚を持つ)ハイパーゲーマーにとって、ギリギリではダメ。30ms、40msまで行く必要がある」。ここでも期待値越えを目指した開発が進められた。