ウィルコムから今年2月にようやくFeliCaチップを搭載した“おサイフケータイ”が登場した。昨年から導入予定であることが明言されていたが、PHSとして初めての搭載となる。こちらの「ウィルコムのおサイフケータイで快適生活」でも利用できるサービスの概要は紹介しているが、本稿ではさらに詳しくレビューしていこう。
おサイフケータイとして発売されたのは、京セラ製「WX340K」および「BAUM」(型番:WX341K)2機種。発売当初から「Edy」「QuickPay」「ANA」「JAL」のサービスに対応したサービスがプリインストールされており、7月5日以降は「モバイルSuica」にも対応しており、現在ではこちらもプリインストールされて販売されている。筆者も「WX340K」を購入し、ウィルコムのおサイフケータイを使ってみたので、その使用感を紹介していこう。
おサイフケータイが「ウィルコム ICサービス」に対応
いまさらではあるが、おサイフケータイとは「モバイルFeliCaチップ」というICチップを内蔵したケータイのことで、2004年7月にNTTドコモが初めて発売している。今年で「おサイフケータイ5周年」ということで、ドコモが記念キャンペーンサイトを公開していたりもする。
その後、auが2005年9月に、ソフトバンク(当時はボーダフォン)が2005年11月に導入。電子マネーである「Edy」および「QuickPay」のほか、ヨドバシカメラや第一興商のカラオケ「DAM」の会員証としてICカードの代わりに利用できるものとなった。
イー・モバイルはまだおサイフケータイを導入していないため、今回のウィルコムで対応キャリアは4社目。各社ともにサービス名には、固有のサービス名が付けられているが、各社共通してNTTドコモの商標である「おサイフケータイ」も併用している。
各通信事業者のおサイフケータイ導入時期とサービス名 | ||
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通信事業者 | サービス名 | 導入時期 |
NTTドコモ | iモードFeliCa | 2004年7月 |
au by KDDI | EZ FeliCa | 2005年9月 |
ソフトバンク | S! FeliCa | 2005年11月 |
ウィルコム | ウィルコム ICサービス | 2009年2月 |
おサイフケータイのメリットとしては、複数のICサービスをひとつにまとめられることが大きいだろう。すでにウィルコム以外でおサイフケータイを利用している人には説明するまでもないだろうが、財布にいっぱい入っているカード類のいくつかを携帯電話の中にまとめ、今後は携行しなくてもよくなるとなれば、その便利さは想像できると思う。
ウィルコム ICサービスで利用できるのは、現在では、プリインストールされているもの(上述)に加え、ビックカメラおよびヨドバシカメラのポイントカード機能、そして、新しく2009年7月5日(日)から対応したモバイルSuicaである。仕組みはNTTドコモなどの場合と同じくJavaアプリで提供されている。搭載されているチップは第2世代で容量が大きく、比較的多くのサービスを併用できるのが嬉しいところだ。
ウィルコムの場合も、モバイルSuicaなどおサイフケータイを使う際は、ほかの携帯電話で使うのと同様、読み取り機にタッチすればいい。ただし、本体をロックするとICロックもされてしまうので注意しよう。また、機能的には、各アプリごとに若干ほかのキャリアの場合と異なることもあり、例えばモバイルSuicaでは、「銀行チャージ」および「時刻乗換案内」は利用できないとしている。また、「JR東海のEX-ICサービス」の利用については今後提供予定だということだ。
ほかにも、ウィルコム特有の注意点がある。ウィルコムではJavaアプリの通信回線をデフォルトの「CLUB AIR-EDGE」に替えて一般プロバイダに変更することも可能だ(別途契約が必要)。このCLUB AIR-EDGE回線接続にしていない状態では、ビックカメラのアプリケーションなどは通信回線が異なるため利用できない(モバイルSuicaについてはエラー表示は出るが、今のところ一般プロバイダ回線でも使えるようだ)。
ほかのプロバイダに接続して端末を使っていると、タッチしてICカードとして使う分には問題ないが、アプリケーションを起動して設定やチャージを行う際にエラーとなるので注意しよう。その場合は接続先を「CLUB AIR-EDGE」に戻せばOK。慌てないで対応したい。ウィルコムのJavaアプリは一部を除いて基本的に公式アプリのみがCLUB AIR-EDGE回線を利用でき、一般アプリは一般プロバイダ回線でのみ通信できる。使用時に設定を変更するだけではあるが、両方使いたい場合にはやや面倒だ。